蜘蛛の糸に絡まった兎ちゃん

□ちっちゃくなっちゃった?!
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「・・・ん」


再び目が覚めたのは夜、部屋には誰も居なかったから夕飯でも食べているんだろう。

ぐぎゅるる


「お腹、空いた」


ベッドから転げ落ちるように下りて自分の着ている服がふーたんのTシャツ一枚だということに気づいた。


「ブカブカ・・・」


袖を捲り、裾を踏まないように持ち小さい足でペタペタと歩き広間に向かう。
慣れない身体で何度か転んだがなんとか広間に辿り着く。


「ふーたん」

『カンナ?何してるか寝とけ言たはずね』

「お腹空いたぁ・・・」


驚いたように俺を見るふーたんに手を伸ばすとひょいと膝に乗せてくれた。


『本当に子供になってる・・・』

『おいシャル、命は大丈夫なのかよ?』

『それは大丈夫。カンナが飲まされたのは身体を縮める毒なんだけど解毒剤が無いんだよ』

『ない・・・?』

『発明すらされてないみたいだから、毒の効果が切れるのを待つしかないね』

「効果どれぐらい?」

『わからない』

「そっか、シャルありがと」

『ところでカンナ、体調はどうだ?』

「もう大丈夫っぽい。とりあえずお腹空いて死んじゃう・・・」


んーっと料理を取ろうとスプーンを手に持ったが上手く扱えず泣きそうになる。
本当に餓鬼というのは面倒だ。


「むうう・・・」

『はあ・・・貸すね』

「ふーたん?」

『ん』


料理を掬ったスプーンを口の前に差し出され、口を開けてパクっと口に含む。


「おいしー♪ね、ふーたんあれも!」

『子供だ・・・』

『普段のカンナからは想像できない喋り方だな』

『・・・可愛いわね』


その後ふーたんに食べさせてもらって普段の半分の量を平らげた俺は満足気にニコニコと笑っている。


『しばらくこのままみたいだし、明日は買い物だね』

『そうね』

「買い物ー?」

『子供服と子供用の食器類とかだよ。いつまでもそんな格好じゃいられないだろ?』


それから、パクやマチに身長やら足のサイズやらを計られて再びふーたんの部屋に戻ってきた。


「お風呂入っていい?」

『一人で入れるか?』

「え、あー・・・一緒に入ろ?」

『仕方ないね』


抱き上げられて脱衣場に運ばれ、服を脱ぎ浴室に入ればやっぱり全てが大きくて柄にもなく少しはしゃぐ。


「わー、シャワー届かない」

『暴れたら転けるよ、大人しく座るね』

「はーい」


言われた通り大人しく座るとわしゃわしゃと髪を洗われる。
誰かに髪を洗われるのなんかいつぶりだろうかと考えている内に髪を洗い終わったらしく背中を泡立てたスポンジで擦られた。


「わ、わ、身体は自分で洗うからっ」

『・・・チッ』

「何、ふーたんロリコン?」

『・・・口縫われたいか』


振り返って意地悪く笑うとデコピンされた。
身体を洗い終わって湯船に入ると向き合うように膝に乗せられてぎゅうっと抱き締められる。


『ささと元に戻れよ』

「そんなこと言われても」

『ワタシそんなに我慢出来ないね』

「ははっ、幼児を抱く訳にはいかないもんね」

『その小ささじゃ耐えれないね』

「ばーか」



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