自由気儘な猫

□編入します
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伊達ちゃんについて学園を歩いてると嫌なほどわかる校内の広さ。
絶対一人で歩けば迷うな、うん。


『ついたぜ』

「お、さんきゅ」

『いや構わねぇさ、俺は1-Bだから何かありゃ来いよ』

「らじゃー」


伊達ちゃんと別れたあたしはノックも無しにガラリと職員室の扉を開ける。


「転校してきた佐々木っすけどー」

『随分と遅ぇじゃねーか』


髪はオールバックで左頬に傷が入った先生らしきヤクザが青筋を浮かべている。


「…ヤクザだ!」

『ぁあ?!』

「こわーい。てかこの学校広すぎ」

『……まあ確かに広いが…お前頬どうしたんだ』

「んぁ?…あーさっきビンタ食らった」

『…来い』


眉間に皺を寄せたヤクザ(←)に腕を引かれて職員室を出た。


「んだよ、離せって」

『ったく最近の餓鬼は口が悪ぃな』

「アンタもだろ」

『俺は餓鬼じゃねぇ』


……なんなんだコイツ。
あたしが退学になった理由だって知ってるはずなのに。
有名な不良校の翡翠高校で暴れた女だぞあたしは。
振り払おうと思ってもガッシリと掴まれていて出来ない。
諦めて大人しくついて行くとついた場所は保健室だった。


『あー…やっぱり腫れてきたか』

「こんぐらい大丈夫だし」

『初日から頬腫らしていくのか』

「別に嫌われてもいいし」

『…可愛くねぇ餓鬼だなお前』


ヤクザ野郎は呆れて溜め息を溢しながらもあたしの頬にガーゼを貼り、氷水を用意してくれた。


「……馬鹿じゃないのアンタ」

『あ?』

「あたしに関わるなんて馬鹿」

『生徒だから当たり前だろうが』

「あっそ、アンタうざいよ」

『そのうざい教師がお前の担任だがな』

「はあ?!最悪…っ」


ニヤニヤと笑うヤクザ野郎改め担任に軽く殺気を覚えたのは気のせいではないだろう。


『ほら行くぞ』

「いちいち腕掴むな馬鹿!」

『てめえ馬鹿馬鹿うるせぇな。俺は片倉小十郎だ』

「馬鹿倉」

『………いい度胸だ佐々木』


決めた、コイツは馬鹿倉。
命名なコレ。



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