瞳に魅せられて
□地獄の道
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ネテロさんと別れて部屋にもどり、はーくんとなーくんと話していると到着のアナウンスが流れてきた。
「よーし、頑張ろっかなーくん」
〔おうよ〕
〔二人とも、怪我しない程度に頑張ってこい〕
「いってきまーす!」
はーくんを魔界に帰すとあたしとなーくんは飛行船を降りる。
降りた場所は出入口も何もない塔の屋上のような所だ。
『ここはトリックタワーと呼ばれる塔のてっぺんです。試験内容は、生きて下まで降りてくること。制限時間は72時間です』
頑張ってください、と言い残して飛行船は飛び立つ。
どうしたもんかと悩んでいると・・・
『一流のロッククライマーなら難なくクリア出来るぜ』
一人の男が壁をつたって降り始めた。
「あの男、死ぬよ」
『え・・・?』
『おい見ろよゴン、もうあんなとこまで降りてるぜ』
『わ、ほんとだ!・・・あ』
『ん?』
『あれ・・・』
ゴンの指差す方向には怪鳥の群れ。
あたしは気配でわかったけど、この子は野生並みの視力で見つけたんだから驚きだ。
予想通り壁をつたっていた男は怪鳥に襲われた。
〔レイ〕
「なーくん?」
〔隠し扉見っけたぜ〕
「流石ー!」
〔二つあるからここからは別々の可能性がある〕
「・・・そっか、お互い頑張ろうね!」
〔あぁ〕
拳と拳を突き合わせて同時にそれぞれの隠し扉へと降りていく。
無事に着地したあたしは顔をあげて驚くことになる。
「なーくん?!」
〔姫ぇ?!〕
同じ部屋になーくんがいたんだから。
「短い別れだねー」
〔全くだな〕
「さて、と。この時計はなんだろうね・・・」
〔残り時間じゃねぇのか?〕
「ほんとだ。あ、なんか書いてるよ?えーと・・・“地獄の道”??」
『そうだ』
壁に書いてある文字を読めばスピーカーから試験官らしき人物の声が響く。
『これからお前たちにはそこにある通路を通って下へと行ってもらう』
「どんな仕掛け?」
『囚人が数百人、だな』
〔はっ、それで地獄か?〕
「退屈してたんだよね、囚人の生死は?」
『・・・問わない。では、健闘を祈る』
ガガガッと通路が現れ、殺気が伝わってきた。
「【悪神の召喚-サモンズイーヴィル-】・・・死神の鎌をちょーだい」
右手を横に伸ばし魔界へと繋げた空間に突っ込むとなーくんと同じ鎌を渡してもらい、空間を閉じる。
ナイフは持ってきてるけど、一番手にしっくりくる武器は鎌なのだ。
「よーし、行こっか。狩りだよ!」
〔おうよ!死神が直々に地獄に落としてやるぜ〕
意気揚々とあたしたち二人は通路へと足を踏み入れて行った。
*
『がっ・・・!!』
『ぎゃあああ!!』
「地獄への道案内ははーくんにでもしてもらってねー♪」
あれから一時間ほど経っただろうか、二人は歩みを止めることなく一撃で仕留めていた。
「ねぇ、若干強くなってきてる?」
〔そうだな、進めば進むほどってやつか〕
「へー・・・なら最後はもう少し楽しめるかな?」
〔どうだろーな〕
クスクスと笑いながらも一人、また一人と命が散っていく。
すでに二人合わせて百人は殺しただろう。
鎌は奴らの血で紅く染まっている。
。