二度目の人生
□戦場に咲く華
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『姐さん!!』
「あぁ、野郎共準備いいか?」
『『うぃっす!!』』
さあ、天下の喧嘩屋の力見せてやろうじゃねぇの。
*
『柚稀』
「信さん、俺らはどうすればいい?」
敵が攻めてくるとの報せを受けた俺は着流しからいつもの服に着替え、信さんの元へと来ていた。
『幸村と共に前線を頼めるか』
「あったりまえですよ。任せてください」
『お主は久方ぶりの戦になる』
「心配しないで、よーっく見ててよ。俺の喧嘩をさ♪」
『……相変わらずじゃのう』
呆れ顔の信さんにケラケラと笑って城門へと向かう。
既に準備万端の舞桜衆とやる気満々の幸村たち武田軍が揃っていた。
『姉上!!』
「幸村、油断すんなよ?」
『はい!!再び姉上と同じ戦場に立てるとは感無量でござる!!』
「ふふ、俺も嬉しい」
『柚稀様、指示を』
「前線を頼まれた。てーわけで野郎共!!俺の復活戦だ!ド派手に暴れてやりな!!」
『『うぃっす!!』』
ゾクゾクする。
野郎共の声、武者震い、本気の命のやり取り。
現代じゃ俺より強い奴なんて一人もいなかった。
だけどこの時代じゃ強い奴なんかごろごろいるんだ。
「幸村行くぞ!!」
敵は今川義元。
おじゃおじゃ言う、うるさいやつ。
「んー、やっぱ喧嘩はいいね」
『覚悟!!』
バキッ
『貴様!素手で我らに勝てるとでも……』
ドゴッ
俺は腰にある双剣を一度も抜くことなく次々と今川軍を薙ぎ倒していき義元の近くまで来ていた。
『姉上!!』
「おー、幸村とおじゃ」
『おじゃとはなんじゃ小娘!!』
「あははっ、今川殿ご無沙汰しております。舞桜衆が頭領、桜姫です」
『なんじゃと?!桜姫は織田軍によって死んだはずでわ……』
「っ……生まれ変わっちゃった☆」
『お、お、覚えておるがいい!!』
ニヤニヤと笑って指関節を鳴らせば一目散に撤退命令を下して逃げて行った。
『姉上?!』
「これでいい。信さんもわかってて俺に前線を任せたんだ」
『うぐ……たしかに、姉上は無駄に命を奪わないお方…』
「そーいうこと!幸村帰ろう?」
(再び咲いた華は)
(やはり命を奪わない)