出逢った意味
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「『すー…』」
『……なにしてんだコイツら』
今朝なかなか起きてこない総悟と真紀を叩き起こそうと来てみれば縁側で柱に二人肩を並べて寝てやがる。
『涙の跡?』
よく見れば二人共頬に涙の跡がある。
むにゃむにゃと寝言を言いながらふにゃりと笑う真紀。
『…おい、テメーらとっとと起きやがれ!』
「ん…?うわあ?!」
目を開けるとトシのドアップで思わず叫んでしまった。
『んだァ?その態度は』
「あは、おとーさん許して」
『だーれがおとーさんだ馬鹿』
『おはよーごぜぇやす
おとーさん』
『テメー!!!!』
「お腹空いたーっ」
あたしは二人をほって食堂へと向かう。
『おー、真紀ちゃんおはよう!』
「ん、おかーさんおはよ」
『お、おかーさん?????』
あたしは近藤さんの隣に座りその隣にザキが座った。
「あたしのおかーさん♪んでね、トシはおとーさんで総悟はおにーちゃん♪」
『そうかそうか!』
『副長が…」
『真紀…てんめー!』
振り返ると不機嫌丸出しのトシとニヤけてる総悟がいた。
「ご飯食べよーぜ?」
『(そんな無邪気な笑顔みたら怒りも消えちまうだろーが!)』
あたしの前に総悟、近藤さんの前にトシが座ってご飯を食べ始めた。
「今日銀ちゃんとこ行きたいんだけどさ」
神楽ちゃん?とか新八?に逢いたいし。
『…しょうがねぇな。今日は特別だ。行ってこい』
『俺が連れてってやらァ。旦那に話もあるしねィ』
「ありがと!あとさ、着物着てみたいんだけど…」
『それなら女中に頼めばいい。桜さんが真紀ちゃんと同年代なはずだ』
「あ、桜とはもう仲良くなった」
昨日屯所を案内してもらったときに同年代って事で友達になった。
「後で頼もっ」
あたしは残りのご飯をかきこみ桜に逢いに行った。
「さーくらっ!」
『真紀っどうしたの?』
「あのさ、着物貸してくれない?あと着付けも頼みたいんだけど今大丈夫?」
控えめに聞くと桜は笑顔で任せて!と言ってくれた。
そして桜の部屋に入ること10分―――
『これでよしっ!っもー真紀めちゃくちゃ可愛い♪』
「可愛くないし!でもありがと。にしても…動きずらい〜」
あたしが着させてもらったのは淡いピンクの着物。
『ふふ…さっ、行ってらっしゃい』
あたしは桜と別れ総悟の部屋に行った。
「そーごっ!」
『遅いでさ……』
不機嫌そうな顔が一瞬にして驚愕に変わった。
「そ、そんなに似合わない?」
『いや、すげー似合いまさァ。行きやすぜ』
総悟に手を引かれ屯所を出る。
「ゔ〜歩きずらっ」
『もうちょっとですぜ。真紀、旦那に別世界から来たこと伝えていいですかィ?』
「へ?いいけど」
『旦那はいつもは面倒臭がりだが必ずいざって時は助けてくれるお人でねィ』
「へー…なんだかんだ仲良しなんだな?」
昨日だって突っかかりはしてたけど本気で嫌いだったらあたしのこと紹介しないもんな。
『仲良し…かは分からねぇがお互いの強さは認めあってるんでェ』
「銀ちゃんもやっぱ強いんだな?だらけてるようでそーいう雰囲気がバリバリしてたけど」
『あぁ、そこらの奴らとは格がちげぇや。っと、ここが万事屋でさァ』
総悟が立ち止まった建物には
【万事屋銀ちゃん】
と書かれていた。
わぉ、そのまんまじゃん
。