蜘蛛の糸に絡まった兎ちゃん
□料理ぐらい出来る?
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ボンッ!
「〜〜〜〜っなんでだよ!!」
『お、落ち着いてカンナ』
「あ゙ーもうやだ!やめてやるっ!!」
『・・・そなことも出来ないか』
「っ・・・俺は食べる専門だぁぁぁ!!」
料理なんか出来なくても生きていけると思わないか?だって現に18年間俺は生きてきたんだぜ?今さら・・・ふーたんに言われたからって・・・やらなくても・・・
『カンナ?』
「パ、クぅ〜・・・もっ回!!」
『えぇ、何回でもやるわよ』
「ふーたん見てろよ!!俺に不可能は・・・―――っパク!なんか燃えたァァ!!」
『・・・きと無理ね』
かれこれ6時間はキッチンに立っているだろう。始まりはフィンとノブの会話だった。
『やっぱ女の手料理だよなー』
『とくに彼女のな』
『だよな!』
「・・・手料理?」
『おめーもフェイタンに作ってやれよ』
「え゙」
目の前には挽き肉。後ろには大量の黒いなにか。
それからまた5時間・・・
「できた!」
『すごいじゃないカンナ!ほら、冷めない内に持っていってあげなさいな』
「うんっありがとうパク!!」
慣れない包丁と慣れないフライパンで指先は包帯だらけだけどそんなこと気にならないぐらいに嬉しくて、俺は皿に盛り付けたハンバーグを持ってふーたんの部屋に駆け込んだ。
「ふーたん!!」
『・・・?』
「できたぞっ」
『時間、かかりすぎね』
パタリと読んでいた本を閉じたふーたんはテーブルにつき、ハンバーグを一口食べる。俺はドキドキしながらふーたんの表情を伺っていると微かに口角が上がるのがわかった。
『不味くはないね』
「っほんと?!」
ハンバーグを口に放り込みながら頷くふーたんにとてつもなく嬉しくなって食べ終わるまでずっとニコニコとしていた。
『指怪我したか』
「?あぁ、これ?だいじょ―――」
綺麗に完食したふーたんは俺の包帯だらけの指を見て少し顔を歪め、何を思ったのか包帯が巻かれた指にキスを落としていく。
「ふ、ふーたん?」
『もう料理しなくていいよ』
「なんで?」
『怪我する見たくないね』
「・・・ん、じゃあしない」
『ま、うまかたよ』
グイッと手を引かれて今度は唇にキスをされた。
ふーたんが喜ぶなら料理でもなんでもしてやんよ!
。