蜘蛛の糸に絡まった兎ちゃん

□記憶と罠と裏切りと
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『行け』


クロロの言葉にうぼー、ノブ、フィン、ふーたんが美術館に突入する。
いつもなら俺も一緒に行ってるけど今回はクロロと共に後から入る事を希望した。
カルディオの監視の為だ。


『さて俺達も行くか』

『そうだね』

「・・・」


当たり前のようにクロロと並ぶカルディオ。
当たり前のようにカルディオを隣に立たせるクロロ。
記憶を改ざんされていない俺には違和感がありすぎて吐き気がするほどだ。


『カンナちゃん元気ないね、大丈夫?』

「アンタには関係ないだろ」

『どうした?』

「別になんともないから大丈夫」


ざわざわと騒ぐ胸を押さえているといつの間にかお宝の前に来ていた。
突っ込んでいった4人も揃ってクロロを待っていたらしい。


『団長これかい?』

『あぁ』


うぼーが宝石に触れようとした途端―――


『っなんだ?!』

「何十人もがここに向かってる・・・!!」


まるで俺達がここに集まるのを待っていたかのように全ての出入り口から警備員がここに向かって来ている。


『チッ・・・団長は宝持って先に出てな!!行くぞウボォー!!』

『おお!!』

『フェイタン行くぜ!!』

『わかてるよ』


あっという間に4人は警備員の元へ行き、クロロは宝石を手に窓から飛び降りた。


「アンタは行かないの?」

『俺?』

「それとも、仕掛けた本人だから行かないってこと?竜眼のカルディオさん」


そう言えばニコニコと貼り付いていた笑みがスッと消え、めんどくさそうに頭を掻いた。


『チッ・・・やっぱバレてんのか。幻影旅団が盗みに来るって情報、流しただけだ』

「てめえ・・・」

『アイツら、俺を結成時からの仲間だと思ってんだぜ?それがどれだけ動きやすいか』


その言葉に頭がカッとなり、小さくなった俺は傘を持ち運べないからと、ふーたんに貰ったナイフで斬りかかる。
が、意図も簡単に交わされてカルディオはニヤリと口角を上げた。


『いいのか?俺を殺せばお前は旅団の奴らに殺されるぜ』

「だから?」

『な・・・っ、俺を殺せばお前は一生餓鬼の姿なんだぞ!!』

「あの男達はてめえの差し金か」

『・・・お前が一番厄介な奴だからな』

「餓鬼だからって舐めんなよ」


足に力を込めて足払いをすれば今度は避けられることなくその場に倒れるカルディオ。
今、ここでコイツを殺す。そうすれば改ざんされた記憶も元に戻るから内戦はしなくなる。
俺は嫌われるし、もしかしたら殺されるけどそれで構わない。


「解毒剤、どこにある?」


ナイフを首に突き付けて聞くと恐怖に顔を歪めたが一瞬で憎たらしい笑みに変わった。
その途端俺のナイフが刀に弾き飛ばされた。


『何を、している?』

「っ・・・ノブ」

『何でカイジにナイフ向けてたんだって聞いてんだよ!!』

「殺す為」


そう言い放った途端、ノブの顔が悲しみと怒りに満ちたのが分かる。ノブだけじゃない、うぼーもフィンも・・・ふーたんも。
違う、そんな顔させたかったんじゃない。


『あ〜ぁ、嫌われたね』

「・・・死ね」


心臓を突き刺そうと手を振りかぶった瞬間、頭に痛みが走り意識を手放した。



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