蜘蛛の糸に絡まった兎ちゃん
□ナンバー8の男
1ページ/3ページ
<ナンバー8、用心に越したことはないよ>
このメールの意味を考えるのが癖のようになってしまった。
と言ってもまだ3日しか経ってない。
一度考え込むと周りの声が聞こえないほどに自分の世界に入ってしまう。
ヒソカはナンバー8に会った事が無いからアジトに来たはず。
でもメールからすれば知ってる口振り。
誰かからの忠告でも聞いたのか・・・ならなんで俺に言った?
きっと他のメンバーには言ってない。
『カンナ』
ヒソカは俺に何をさせようとしてるんだろう。
協力を求めているのか・・・どう対処するか見たいだけなのか。
『カンナ』
そもそも、信じていいのかって話だよな。
まぁ用心して損にはならないだろうからとりあえず様子は見た方がいいかな・・・
バシッ
「った!!」
『何回呼べば気付くか』
「あ・・・ふーたん、ごめんごめん」
『まーた考え事か?』
「フィンと違って色々考えてるからね」
『んだと?!』
『そんなことよりカンナ、この男がナンバー8だよ』
マチの言葉に視線をフィンからそちらに向ければニコニコと気味の悪い笑みを貼り付けた男がいた。
『こんにちは、俺はナンバー8のカイジだよ』
「・・・カンナ」
コイツは危険だ。
そう思った時には男、カイジは俺の視線を合わせるように目の前にしゃがんでいた。
『君がカンナちゃんかぁ。』
「っ・・・!!」
目が合った途端、吸い込まれるような飲み込まれるような感覚に陥り咄嗟に視線を逸らす。
危ない、コイツはヒソカの言う通り警戒しなければいけない・・・っ。
『毒で子供の身体にされたんだって?解毒剤がないとか』
「・・・うん」
『あるけどな』
「っ?!」
俺だけに聞こえるような一段と低い声で言うカイジ。
何者だ―――
pipipipi
携帯が鳴り、カイジの前から少し離れた場所で携帯画面を見るとヒソカの文字。
「・・・もしもし」
≪もしもし≫
「どういうこと?」
≪おやボクが出掛けた時に来たみたいだね◇≫
「うん、説明して」
≪会わせたい男も居るから外で落ち合わないかい?≫
「いいよ」
≪なら決まり♪近くの喫茶店で待ってるよ≫
電話を切った俺は溜め息を吐き少し冷静に考える。
ヒソカは間違ってない、確実にカイジは俺らをどうにかするつもりだ。
なら、俺がすべきことは一つ。
「殺す」
『カンナー?』
「ごめんちょっと人と会って来る」
『・・・誰ね』
「ヒソカ」
そう言って止められる前にアジトを飛び出した。
ふーたんとマチは絶対止めるだろうしな。
。