蜘蛛の糸に絡まった兎ちゃん

□ちっちゃくなっちゃった?!
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バシャバシャ


「はぁっ、はぁっ・・・」


雨の中、傘を抱き締めて走っている一人の子供がいた。
自分の身長よりも大きい傘を。


「わっ・・・!!」


子供の正体は俺、カンナ。
ブカブカな着物を踏んで転んでも、アジトに向かって必死で走っている。






約二時間前、雨の中一人で散歩に出掛けた俺はニヤニヤと気色悪い笑みを浮かべた男たちに絡まれたのが始まりだ。
部屋に連れて行かれ、突然電気を落とされて油断した隙に何かを飲まされた。
途端、身体が熱くなり・・・子供の姿になっていた。
暗闇ということで着物を脱ぎ男たちを全滅させ、再び着物を身に巻き付け傘を持ちアジトに向かって走っているという訳なのだ。


「くっそ・・・」


身体が思うように動かず手こずりながらもアジトの扉に手をかける。


『誰だ』

「はぁっ・・・ノブ・・・っ」

『子供・・・?』

『でもカンナの着物と傘を持ってるよ』

『・・・カンナか?』

「ふーた、ん・・・」


ノブナガとマチが首を捻る中、ふーたんが俺だと気付いてくれて慌てて駆け寄ってくる。


『お前何かその姿!』

「へへ・・・油断、し・・・た・・・」

『カンナ!!』


珍しく声を荒げるふーたんの声を最後に俺の意識は途切れた。





























「・・・っはぁ・・・」

『カンナ・・・!』

「けほっ・・・ふーたん?」

『気が付いたか』

「クロロ・・・」

『お前酷い熱ね、何があたか』


熱・・・?
言われてみたら身体だるいし咳出るし。


「男の人たちに、絡まれてね?何か飲まされてね、こんな姿なったんだ」

『・・・そうか、記憶はそのままらしいが喋り方は子供だな』

『5歳ぐらいよ』

「けほっ・・・水ちょーだい?」

『・・・あぁ、ほら』


クロロから水を受け取り小さい手で一生懸命持ち、んぐんぐと飲む。
水を飲み干した俺はパタリとベッドに身体を倒した。


「俺は・・・一人でだいじょ、ぶだから・・・」

『どの口がそんなこと言てるか』

『とりあえずシャルに調べさせてくる。フェイタンはカンナを頼む』

『わかたね』


ぽんっと俺の頭を撫でてクロロは出ていった。


『・・・』

「・・・ふーたん?」

『・・・』

「怒って、る・・・?」


クロロが言う通り、記憶はしっかりとあるがそれ以外は子供らしくすぐに泣きそうになる。


『な、なぜ泣くか・・・怒てないよ』

「ぐすっ・・・怒ってない?」

『ただ、心配だただけね』

「・・・ごめんなさい」


だるい身体を起こしてふーたんの首に抱き着けば痛いほど抱き締め返されて本当に心配してくれたんだと嬉しくも申し訳なくもあった。


『死ぬかと思たよ』

「う・・・ごめん」

『悪いと思うならささと体調直すね』

「うんっ」


ゆっくりとベッドに戻され、ふーたんは手を握ってくれる。


「ふーたんの手、おっきい」

『お前が小さくなただけね』

「へへっ・・・安心する」

『・・・なら早く寝るよ』

「ん・・・」



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