蜘蛛の糸に絡まった兎ちゃん
□穏便に穏便に脅しましょ
1ページ/1ページ
期限まであと4日。
黒のドレスに白のファーストール。
髪は緩く巻いて、さらにばっちりメイクで一瞬誰かわからないような・・・
「パークぅー」
・・・・・・俺。
『よかった、サイズもバッチリね。』
「似合わないって」
『あらそんなことないわよ?フェイタンに見せたらきっと驚くわ』
「ちょ、パク引っ張んなよ;」
やけに楽しそうなパクに手を引かれて広間に入るとクロロもフィンもふーたんも、俺を見て固まった。
わー、みんなスーツだ。
『・・・ほう、まさかそこまで似合うとはな』
『女は化けるな』
『・・・』
「へ、変じゃない?大丈夫?」
『あぁ、心配するな。そろそろ行くとしよう』
にっこりと笑ったクロロに少し安心して外に出るとリムジンが止まっていて中からシャルが『乗って』と言う。
「なにこの車」
『会社の社長が徒歩じゃおかしいだろ?それにしてもカンナドレス似合うね』
「あ、そっか。似合わないって・・・」
運転席にシャル、助手席にクロロ、その後ろにフィンとパク、その後ろに俺とふーたんが乗り込み車は目的地へと発車した。
『・・・似合てるよ』
「っ!!ほんと?」
『誰にも見せたくないね』
「・・・ありがと。ふーたんもスーツカッコいいじゃん」
ふーたんのたった一言で自信がつくんだもん、俺重症だな。
嬉しくて緩む頬を隠そうと俯いているとぎゅっと手を握られて一瞬で真っ赤に染まる。
『そんな赤い顔で行くつもりか』
「っるさいな・・・誰のせいだと思ってんの//」
ほんとに重症だ。
『着いたよ。じゃあ団長、終わったら連絡してね』
『あぁ、御苦労』
「歩きにく・・・」
普段はショート丈の着物だから慣れないドレスに苦戦。
『お前どんくさそうだな』
「え?ぶっ飛ばされたいって?」
『・・・何にも御座いません』
『大丈夫か?』
「なんとか・・・」
『入るぞ』
ガチャリと入った部屋には金持ちそうなジジイがソファに座っていた。
俺とクロロとパクはジジイに向かい合うようにソファに座りふーたんとフィンは俺らの後ろに立つ。
『お久しぶりです』
おお、そんなに変貌するのか(笑)
すんごい爽やかに笑ってるよ、幻影旅団の頭が好青年演じてるよ。
『おや、そちらのお譲さんは?』
『僕の妹です』
「初めまして、カンナと申します」
クロロに肩を抱かれて俺はふわりと目の前のジジイに笑いかけると舐めるように見られて気持ち悪いほどニッコリと笑いかけられ全身の毛が逆立った気がした。
それから商談に入り、俺はただ黙ってクロロとジジイの話を聞いていた。
『少し席を外させてもらうよ』
なかなか話は成立しなくてジジイは部屋を出て行き、クロロはめんどくさそうに溜め息を吐く。
『あのじいさんしぶといな』
「俺の勘だとあのジジイ、もうすぐとんでもないこと言うよ」
『なんだそりゃあ』
「秘密。そうなったら俺に任せてよ♪」
『とてつもなく嫌な予感がするぜ・・・』
「穏便に穏便に(笑)」
暫くして戻ってきたジジイはコーヒーを一口飲むと俺のほうを見て口を開いた。
『その妹さんもつくならその金額の倍は出す』
『な・・・』
『ふざけ―――』
ドゴッ
ジジイの頬を掠めて壁を破壊したのは宝石。
社長の妹っぽい身だしなみにするために俺の指輪についていた物だ。
投げたのは勿論俺。
「俺を手に入れても一瞬でお前死にますよー。はやく承諾しねぇとこの屋敷とお前が経営してる美術館、壊すつもりですしー。」
『わ、わかった!!その額でいいだろう』
「ごめんなさい、空耳かしら。・・・倍、出せんでしょ?それ以上出さないで許してもらうつもり?」
『さ、3倍!』
「・・・」
ドゴッ
もう一か所壁を破壊するとジジイは顔を青くする。
『5倍出してやる!!』
「・・・出してやる?」
『だ、出させていただきます』
「クロロ、5倍でいいか?」
『あ・・・あぁ』
「んじゃ、毎度あり〜。ジジイよかったな俺一人だったら限界まで出させてたわ。」
『・・・えげつねぇなお前』
商談は良い結果に終わり、俺の提案で喫茶店にきている。
『好きなだけ食え、お前のおかげで大儲けだからな』
クロロにぽんぽんと頭を撫でられ、俺はチョコパフェとチョコケーキとホットケーキを頼んだ。
クロロはプリンを、他のみんなはコーヒーを頼んでいる。
『穏便ではなかったけどな』
「誰も死んでないから穏便だろ」
『・・・そうだな』
「それより、クロロの猫被りに笑い我慢するのしんどかったぞ」
『好青年だたね』
『社長だからな』
『その好青年の妹が宝石投げて壁破壊っておかしいでしょ。俺もついていけばよかったなー』
。