蜘蛛の糸に絡まった兎ちゃん

□ゆらりゆらり、揺れる兎ちゃん
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期限まであと1日。
今日はこの前約束した通りふーたんと散歩に来ている。


「むぐむぐ・・・」

『・・・』


バキッ


「って・・・何だよー」

『何呑気にチョコ食てるか』

「ふーたんも欲しい?」

『いらないね。ちゃんと考えてるか?』


人が誰も居ない場所に落ち着き、日の光に当たらないように木にもたれて俺はチョコを黙々と食っていた。


「全く」

『・・・』

「大丈夫だって、期限までにはちゃーんと決めるからさ」


そう言ってまたチョコをかじると顎を掴まれてふーたんに口づけられ、俺の口にあったチョコは侵入してきた舌に奪われてしまった。


「ん・・・?!」

『やぱりチョコは甘いね』

「な、な、な・・・////」

『たかが口移しで何赤くなてるか』

「だ、だって・・・」

『やることヤたのに』

「〜〜〜////」


バタバタと暴れると押し倒された。
上から見下ろすふーたんの瞳が不安げに揺れているのに気が付き頬に手を添える。


「ふーたん、泣かないで」

『泣いてないね』

「涙出てなくても、泣いてる」

『・・・なぜそんな落ち着いてられるか。明日にはどちらか切り捨てないといけないよ』

「あは・・・キツい事言うなぁ。実感なさすぎて夢みたいなんだよな。明日には片方を失うなんて・・・」

『我儘、言てもいいか』

「うん」


俺の首元に顔を埋めてふーたんは小さな声で言った。


『離れたくないね・・・』

「っ・・・」


その声があまりにも弱々しくて、思わず涙が溢れる。


『困るて分かてるよ・・・でも嫌ね』

「ふーたん・・・俺、なんかしたのかな・・・っ」


バッとふーたんが顔を上げて見下ろされる。


「父さんに身体汚されて、神威に助けられてから6年間楽しかったのに・・・いきなり全く知らない世界に一人で、飛ばされてさ・・・?ふーたんに会って、今すんごい幸せで・・・なのに、今度は・・・っ!!」


ボロボロと止まることの知らない涙を隠すために手で顔を覆って言う。
ふーたんに言っても現実は変わらないのに。


「大事な家族か・・・大好きなふーたんと蜘蛛か、どっちかを捨てるなんて・・・。俺には出来な、い・・・」


ふーたんを困らせるだけなのに。


『・・・困らせて悪かたよ』

「グスッ・・・ふーた、んは・・・悪くねぇよ・・・っ」



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