蜘蛛の糸に絡まった兎ちゃん

□訪ねて来たのは、天使か悪魔か
1ページ/3ページ


ふーたんへの気持ちを殺すと決めて1ヶ月。
いつもはふーたんより何時間も遅く、昼頃に起きるのに今日はまだ日も昇らない内に目が覚めた。
心がざわざわと騒いで、頭がうまくまわらなくて、手が震える。
ふらりとふーたんの部屋をでて屋上に出た。
傘も持たず、包帯も巻かずに。


「…日が、出てきた」


屋内に行かないとって思うのに体が動かない。
ジリジリと体が焼けていくのが嫌なほどわかる。
あ、倒れる―――

ガシッ


『馬鹿かお前!!』

「あ…ふーたんおはよ」

『っふざけてるか!』


横抱きにされて広間に運ばれた。


『カンナ!!』

『どうしたんだ』

『この馬鹿屋上にいたね』

『日の光を浴びたのか?!』

「へへ…」


力なく笑うとみんなに怒られた。
俺って愛されてんねー、なんておちゃらけるとフィンにしばかれるし。


『なんで倒れるまで外に居たんだ?』

「珍しく早起きしたからテンション上がっちゃって」

『嘘をつくな』

「…頭まわらなくて、体も動かなかったからどうしようもなかったんだよ」


暫く休むと回復し、みんなもホッとしていた。
でも、みんな気付いてる。
俺の様子がおかしいことに。


『…カンナ』

「ん?」

『何に怯えてるか』

「怯えてる?冗談きついぞふーたん。俺がビビるわけ―――」


しらばっくれると首を締められた。
まわりが驚いて止めに入るも離すどころかギリギリと力が籠っていく。


『そんな嘘通用すると思たか』

「かはっ…」

『フェイタン!!』

『…チ』

「けほっ、わかんないんだよ…」

『カンナ?』

「俺にもわかんねーんだよ!」


心がざわつく理由も手が震える理由も、何一つわからない。


「嫌な予感が、するんだ…」

『嫌な予感…?』

「っ…でも、そんな訳ない…」

、、、
アイツがこの世界にいるはずがないのに、ここに…アジトに来る気がしてならない。


『一体どうしたってーんだ』

『ちょっと待って、誰かがこっちに向かってきてるよ』

「―――?!…う、そ」

『カンナ?』


嘘だ、だってここは…

ガチャリ


『『『!!』』』


ここは別世界なんだろ?


『誰だ』


クロロが静かに聞く。
みんな入ってきた奴に殺気をこめて睨んでいるなか、ただ一人俺だけ俯いて顔をあげない。
だって気配で分かるから。


『くっくっく…やっぱりお前か


『質問に答え―――』


…栞七』

「っっ!!」



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ