蜘蛛の糸に絡まった兎ちゃん

□蜘蛛くんと兎ちゃんがお出掛けするようです
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「ふーたん」

『…』

「なぁふーたん」

『…』

「ふーたーん」

『…』

「ふーたん、無視?」

『…』

「殺しちゃうよ?」

『………何ね』


ざわりと殺気を少し出せばやっとふーたんが口を開いてくれた。
ちなみにあれから一週間が経ち、ふーたんの部屋に寝泊まりしている。
って言ってもソファだけどな。


「出かけてきていい?」

『駄目ね』

「なんでー?」

『団長から目を離すな言われてるよ』

「じゃあふーたん一緒に行こうよ」

『嫌ね』

「なんでー?」

『なぜお前と出かけなければいけないか』

「俺がふーたんと一緒に行きたいから」

『理由になて無いね』

「…ふーたんが監禁してくr」


ふーたんの部屋のドアを開け、思いっ切り叫べば口を塞がれて部屋に逆戻り。
押し倒されて首にナイフを突き付けられた。


『いい加減にするね、ふーたんふーたん…何がしたいか』

「何がしたいか?んー…」

『ワタシへの嫌がらせか』

「ううん」

『なら何ね、ワタシが嫌いか』

「嫌い?俺ふーたん大好きだよ」

『…』

「ふーたんは俺のこと嫌いだよな」

『…別に、そんなこと言てないよ』

「だって無視するじゃん」

『それは…』


ナイフをしまい、口ごもるふーたん。


「こういう風に接されるの慣れてないんだろ?」

『…』

「俺もそうだったからさ」

『お前がか?』

「餓鬼の頃だけど。俺は兄貴と妹にベタベタされて慣れたよ」

『だからお前ワタシにつきまとうか』

「そゆこと、一緒に外行こうよ」


な?と首を傾げて見上げば困惑しながらも頷いてくれた。
それが何故かとてつもなく嬉しくて押し倒された状態のままふーたんの首に抱き着く。


「ふーたんありがと!」

『な、は、離すね!!』

「へへ、行こーぜ♪」

『…ならととと用意するね』


立ち上がりフイッと背中を向けたふーたんに慌てて着替えをしようと服を引っ張り出す。
服と言ってもショート丈の着物ばかりだ。
白い生地に桜が散りばめられた着物。
この世界には着物はあまりなく、クロロが取り寄せてくれたらしい。


「ふーたん♪」

『!!』


着替えをすまし、後ろから腕に抱き着けば面白い程にびくつくふーたん。


『…お前やっぱ変ね』

「よく言われる」


ふーたんなら振りほどける筈なのに嫌がる素振りすら見せない事に気を良くしてぐいぐいと腕を引っ張り広間までおりてきた。



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