蜘蛛の糸に絡まった兎ちゃん

□ありきたりな出会い?ナニソレオイシイノ
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「ひ、ひぃっ……」


ある星の中心部、俺は最後の一人の首を持ち上げ、傘で心臓を刺そうと振りかぶった。


ピカーッ


「わっ…?!」


突然、目を開けていられない程の光に包まれて怯む。
光が収まり辺りを見渡せばさっきまでいた、機械がたくさんある部屋とは似ても似つかない美術館のような場所だった。
しかもこの目の前の男が最後の一人だったはずが何人もいる。


「…なに、ここ?」

「くく……くくくくくっ」

「お前知ってんの?どういう事だよ」


問い掛けても尚笑うだけの男にイラつき右腕を傘で壁に縫い付けた。
イライラする、弱いくせに。


「ぎゃあああ!」

「答えろ」

「ぐ…っザマぁねえな。ここは俺たちがいた世界とはまるで違う別世界だ」

「……」

「ぎゃああああああああああああ!!」

「あ、やっべ…殺しちゃった」


無意識に心臓へと己の手を突き立てていた。
と、そこで周りからの殺気にくるりと振り返る。


「強そうなの、みーっけ♪」

「!!」

「なんだこの餓鬼…?!」


ここが何処かなんて疑問は頭から消え去り、思わぬ強者との出会いにニヤリと笑うい一番近くにいたマント姿の男の前へとジャンプして行く。


「な…ッ」

「お前、強いよな?俺と遊ぼうよ」

「…ふざけてるか?お前誰ね」

「俺?俺はぁ…」

「あああああ!!」

「うっせーな」


マント男と話していると後ろからナイフを持った男が走ってきたけど、回し蹴りで壁にめり込む。
俺は今コイツと話てんだよ。クソKY、嫌われるよ?


「あれ?死んだ?やっぱ人間って弱…ん?お前も人間?」

「…人間ね」

「ふーん、じゃあここは地球?ますます気に入った。雑魚なんかとっとと殺して俺と殺り合おうよ」

「何を勝手に―――」


ニコリと笑った俺はスーツを着た男たちを次々と手刀で殺していき残ったのはマント男同様強いであろう数人だけ。
返り血で頬が汚れても尚にこにこと笑っていると背後から二人、ちょんまげ男と熊男が攻撃を仕掛けてくる。


「よっと」


ぴょんっと軽く飛び逆に背後から熊男を蹴り飛ばし、ちょんまげ男を地面に殴りつけた。


「ってぇ…」

「ほんとに餓鬼かよ?!」

「ウボォーとノブナガがあっさりと避けられるなんて…」

「頑丈だな、お前ら♪」

「好きにはさせないよ!」


女の人が叫んだ瞬間、身体が動かなくなり何かに縛られているような感覚になる。


「へ?」

「ウボォー、はやく担いで帰るよ」

「任せろ」

「わ、わ…なぁお姉さん、俺の傘持ってきて?あれ大事なんだよなー」


神威と神楽から誕生日に貰った大事な傘だ。
俺は抵抗することなく熊男の肩に担がれ、美術館をあとにした。

ビルの屋上からビルの屋上へと移動するのを見て俺は呑気に「おぉ〜」と感心している。


「人間にまだこんな強いのがいるなんて知らなかった。なぁ、他にもいるのか?」

「あぁ」

「ふーん、神威と潰しに来ようかな」

「神威?お前の仲間か?」

「俺の双子の兄貴!」

「その神威ってのも強いのか?」

「強ぇーよ。で、これから俺どうなんの?」

「団長のところに行くのよ」

「団長?お前らもなんか組織?」

「そろそろ黙るね」

「あ、マントさん喋った!」

「ぶはははは!フェイ、お前マントだってよ」

「……」


だって名前知らねーもん、と頬を膨らますとマントがボソリと呟いた。


「…フェイタンね」

「ふえいたん?」

「ふえいたん違うねフェイタンよ」

「ふえ…ふ……ふーたん!」

「な…?!なんねその呼び方!」

「だって呼びにくいから、いいじゃんふーたん」

「ふざけるのもいい加減に―――」

「着いたよ」


ふーたんの言葉を遮ったのはお姉さん。
どうやら団長って奴のところに着いたみたいだ。
ボロい建物の中から強者の気配を感じて武者震いをする。


「強いのがいっぱいいる」

「お前わかるのか?」

「ゾワゾワするからわかるよ」

「どっかの変態みてぇだな」

「ほらよ、ここだ」


ガチャリと扉が開くと、ふーたん達とおなじぐらいに強い人間が何人もいる。
そのなかでも一際威厳があるコートの男の前に降ろされた。


「ふ、ふーたん!!なんかこのコートさん怖いんだけど!」

「今更なにビビてるか」

「かっかっか!!団長の呼び名はコートか?」

「危険だって、俺の本能が騒いでるって!!」


なんだろう、強い相手に怖がった事なんかないし。苦手なんだきっと。
涙目で顔を横にブンブンと降っているとコートさんが溜め息を溢す。


「おい、何だこの餓鬼は?」

「うぇぇぇ……ふーたんヘルプミー。あと俺は餓鬼じゃねぇ!18歳だかんな!!」

「え、中学生だと思ってた」

「つーかお前さっきとキャラ違くねぇか?」

「テンパってんの、わかる?まじで俺この人怖い」

「…良いから説明しろ」

「っ…気づいたら美術館に居てふーたんに遊ぼって言ったらちょんまげと熊さんに攻撃されてお姉さん捕まえられたんだよ」

「……誰か通訳をしてくれ」

「ふーたん、はフェイタンだとして…ちょんまげはノブナガで熊さんはウボォー、お姉さんはマチってとこだね」



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