自由気儘な猫

□待ちに待った日
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翡翠騒動(?)から二週間。
こじゅから説教を受けた以外は誰からも怒られなかった。
翡翠の奴らも諦めたっぽいし、あたしとしては好都合だ。
今は1日を終えるHR。
こじゅが何やら連絡をしているが上の空。


「……」


昨日、かすがから聞いた話が原因だった。

“明日、学校に   が来ると……”

1日中警戒はしていたけどそんな気配はゼロで、アイツの遊び半分だったんじゃないかと思っていた。
そう、思っていたんだ。
廊下に響く足音を聞くまで―――


『おい佐々木どうした』

「んーちょっと、ね」


急に立ち上がり、後ろのドアに向かって歩くあたしをクラス全員が不思議に思うなか、ガラリとドアが開けられた。


『誰だおま―――』


こじゅの言葉が終わるよりはやく、あたしとドアを開けた男の足が高い位置で交わる。
直ぐ様足を戻して回し蹴りを繰り出すも、簡単に足を掴まれて反対側である窓際まで投げ飛ばされた。


「っげほ……」

『聖!!』

『誰だてめえ!!』

『叔父様?!』

『おじ……???』


ふらつきながらも立ち上がり目の前の男を睨み付ける。


『見ねぇ内に随分別嬪になったな、聖』

「見ねぇ内に随分ジジィ臭くなったな」

『え゙!!まじか?!』

『おい聖!!誰だよこの男!』

「……佐々木透。あたしの親父だよ」

『おいかかってこい』

「ぶっ倒してやる…!」









「っはあ……」

『やるじゃ、ねぇか……』


肩で息をするあたしと親父。
すると急にドカリとその場に親父が座りだした。


『だーっ、やめだ』

「な……っ」


ふざけんな、まだあたしはやれる。
殴ってやろうと近付けば何故か腕を引かれて、


「っ?!」


抱き締められた。


「な、てめ、離、せ」

『……お前の勝ちだ。強くなったな』

「は…?」

『聖、大きくなったな。アイツに似て美人になった』

「っ」


アイツとは母さんのことだろう。
やっぱり、親父は母さんのことまだ好きなんだ。
だから親父のこと嫌いになれない。


「あぁ…腹立つ」

『え゙』

「………」

『え、え、え、え、え』


焦る親父にぎゅうっと抱き着けば更に狼狽えた。
喧嘩になるとカッコいいけど、普段は(というかあたしと母さんには)尻に敷かれるタイプ。


『ごめんな』

「許すか馬鹿が」

『……聖ちゃ〜ん』

「うっさい。出てけ恥ずかしい」


パッと立ち上がって溜め息を吐くと親父も立ち上がり、なにやら資料を取りだした。


『お前、パソコン得意だったよな?』

「?うん、まぁ」

『頼みたい事があんだけどよ』

「……教室の外で待ってて」



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