自由気儘な猫

□お呼び出し
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目を覚ましたらもう昼で、さっちゃんたちに誘われて屋上で昼飯を食べることに。


「ふわぁ……」

『まだ眠いの?聖ちゃん』

「ん…」

『あー、食ってから寝ろ』

「もうご飯いらない…」


手に持っていたメロンパンを袋に戻して隣に座るチカにもたれ掛かって目を閉じる。

ガチャッ!


『聖!!』

「…かすが?」


目を擦って屋上の入口を見ると息の上がったかすがの姿。
手にはなにやら手紙らしきものが握られていて、息を整えたかすがはその手紙をあたしに渡してきた。


『女子生徒がお前に、と』

「わーラブレターだ」


なーんて
そんな可愛らしいものの訳がなく、内容は嫉妬に怒り狂った女共からの呼び出しだ。
まぁわかってた事だけど案外早かったなぁ。


「かすが、わざわざありがと」

『…行くのか?』

「もちろん」

『ならば私も…!!』

「だーめー」

『なにを考えてるんだ!!』

「もうあたし、強いじゃん」


あたしの過去を知っているかすが。
女の嫉妬がどれ程危険か知っているから心配してくれるのは、優しいかすがなら当たり前だ。
だけどあたしはあの時みたいに弱い餓鬼じゃないから、大丈夫。


『聖?その手紙なんだよ?』

『女からって…』

「お呼び出しー」

『真でござるか?!』

「まことまこと」

『聖……』

「チカも、大丈夫だからさ」


心配してくれるみんなに大丈夫だと言い聞かせて午後の授業のために教室へと戻っていった。
嫌な視線を浴びながら。



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