自由気儘な猫

□編入します
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「ふわぁ……」


猫っ毛の美しい金の髪を風に靡かせた一人の少女が、飴をくわえたままいかにもダルそうに欠伸をする。
彼女は真新しい制服を着崩してある学園の目の前に立っていた。

今は9時、恐らく授業中なのだろう。
学園内が静かだ。


「んとに静かだねー」

『聖!!』


ダラダラと靴箱までやってきたあたしは名前を呼ばれて視線を向けるとそこには―――


「かすが」


従妹であるかすがの姿があった。
あたしと同じ金髪。
走ってきたのか息が上がっている。


「お前、今授業中じゃないの」

『そんなものどうでもいい!!』

「なんでここに来たかって?」

『あぁ』

「前の学校に飽きたから」


クスクスと笑って言う聖にかすがは掴み掛かり俯く。


『また、喧嘩をしたのか?』

「うん」

『退学にされたのか?』

「そうだよ。まぁ、あの学校は全員潰したからどうでもい………」


パンッ

左頬に鈍い痛みが走りかすがにビンタをされたと気付く。


『なんでお前は…!!』

「やだなぁ、かすが…知ってるくせにさ」

『そんなことやめろと言っただろう!!』

「やだって言ったじゃん」

『っ…もう、勝手にしろ』


俯いたままかすがはあたしから離れて走り去って行った。
また傷つけてしまったのだろうか。
かすがの事、大好きなのに。


「チッ……てか、職員室どこよ」

『Shit!遅刻だ!!』

「は?」

『っと…アンタも遅刻か?』


前髪をくしゃりと掴んでいたら後ろから焦った様子の声がして振り返ると右目に眼帯をした生徒であろう男がいた。


「遅刻っていうか、あたし転校生」

『転校生?Ah…職員室がわからねぇのか?』

「そうそう」

『OK!来な、俺が案内してやるよ。俺は伊達政宗ってんだ』

「あたし、佐々木聖。伊達ちゃんね」


普段はあんまり名前言わないんだけど、この学園は別に潰しに来た訳じゃないし少しぐらい馴れ合いをしてもいいかなーなんて。


『お前1年か?』

「うん」

『にしちゃ早ぇ転校だな』

「退学になったんだよ」

『退学だと?!』

「へっへーん」

『……褒めてねぇよ』



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