瞳に魅せられて

□難題
1ページ/2ページ


『私のメニューは“スシ”よ!!』


どどんっ!と言い放った言葉に首を傾げるあたしたち親子。


「すし…??」

〔なんだそりゃ〕

『わからないねぇ』

「メンチさーん」

『あら、どうしたの?』


皆が頭を抱えながら用意されたキッチンへ向かう中、あたしはメンチさんに駆け寄る。


「ねぇ、スシってなに?」

『…あんた、よく馬鹿って言われるでしょ?そんなの教えたら試験にならないじゃないの』

「ちぇ…。なーくん、どうしよっか?」

〔今まで飯はパクノダに任せっ切りだったからなぁ〕

「パク姉ちゃん来てくれないかなー」


のろのろとキッチンの自分たちの定位置に来たあたし達は置いてあるご飯やら包丁やらを眺めていた。


『魚ァ??!!』

『声がでかい!!!!』

「へー、あのクルタの子スシ知ってるっぽいじゃん」

〔だな。うっし、魚捕りに行くか!〕

「うんっ!」


例のクルタの男の子と馬鹿な男の人のおかげで魚が必要だとわかり、受験生は一斉に川のある方へ走りだす。
それに便乗して、やっぱりのろのろと川の方に向かって行く。
川を見つけたと同時に見知った姿を見つけて手を振る。


「キルアー」

『お、レイにナツキじゃん』

〔よお〕

「えーと、確か一次試験でキルアと一緒に走ってた子だよね?」


キルアの隣にはサトツさんの後ろをダントツで走っていた黒髪の男の子。
身長も同じぐらいだしキルアと仲良くなるわけだ。
このぐらいの子供はほかにいなさそうだし。



『うん!俺はゴン!お姉さんたちは?』

「あたしはレイ。こっちはナツキ」

『レイさんとナツキさんだね』

『お前らも魚捕りに来たのか?』

「そうそう、あんた達のおバカな仲間のおかげでね」

『あ、あははー…』

『レオリオだな』

『それにしても、クラピカ物知りだね!』

『あぁ』

「クラ、ピカ……?」


クラピカ、聞いたことある。
ううん、そんなもんじゃない。
あの時感じたのは気のせいじゃなかった、あたしはあの子、クラピカを知ってる。


『どうした?』

「なんもないよ、なーくん魚とってー」

〔おう任せろ〕


パシャパシャと川に入りジーっと水面を見つめるなーくんを横目にキルアとゴンの髪を撫でる。
ふわふわの銀色の髪と、少し固めだけど触り心地のいい黒髪。
キルアは照れ臭そうにそっぽを向いているけど、ゴンはにこにこと笑っている。
あぁ、この子はキルアやあたしに比べればいい家庭に生まれたんだ。


「ゴンは、真っ直ぐな子だね」

『??』

『ほーんと、コイツ馬鹿みたいに素直なんだぜ』

「キルアはひねくれー」

『う、うるせーよ!』

〔レイー、ほらよ〕

「わー、なーくんありがと!ほら、あんた達も調理に戻らないと」


魚を二匹持ったなーくんに礼をいい、子供たちに手を降りキッチンへと戻る。
すでに調理に取り掛かっている受験生が大半で、何人かは出来たらしいけどメンチさんにことごとく追い払われている。


「うーん、出来た??」

〔俺も一応〕


食べれるのかさえ分からない物体が出来上がり、恐る恐るメンチさんのもとへと持っていく。


『だめね』

「やっぱりー?」

〔だろうな〕

『ったく、誰もかすりもしないわね』

『ふっふっふ、そろそろ俺の出番だな。どうだ!!』


自信ありげに持ってきたのはハゲの男。
どうやら形は合っているようで、メンチさんも感心している。
この人が一番通過かなーなんて思っていると・・・


『ざけんなてめー!!!』

「…ん?」

『ハゲ殺すぞ!!文句あんのか、お?!あ?!』


どういうことか、メンチさんはハゲの胸ぐらを掴んで怒鳴りまくっている。
ま、これでどんな形かは分かったからいいかな。
冷や汗をかいているハゲを横目に同じような形の物を作って持っていく。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ