瞳に魅せられて

□もう大人です
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またまた突然ですが、20歳になりました。


「フィン兄ちゃん!!」

『あ?』

「煙草吸ってみたい!」

『駄目だ』

「え、何でよーっ」

『だーめーだ』


兄ちゃんの煙草の箱を取ろうとするとひょいと上に上げられて身長差のせいで届かない。


「だってあたしもう20歳だよ?お願いっ!」

『……一本だけな?』


溜め息をついたフィン兄ちゃんは一本だけあたしに渡し、ライターを向けてくれた。
ドキドキしながら煙草をくわえると火をつけてくれる。


「っけほ」

『あーったく…大丈夫か?』

「だいじょ…こほっ」

『一回かせ』

「こほっ…」

『だから駄目だっつっただろ?』

「やだっ」

『はあ?』

「やっと、あたしも大人になったんだからさ。ちょっとでもフィン兄ちゃんと同じでいたいじゃん…ってあたしなに言ってんだろ」


は、恥ずかしい事言った。
バレてないよね?
あたしがフィン兄ちゃんを好きだって事…


『ほー、なかなか可愛い事言うようになったじゃねぇか』

「ばっ馬鹿にしないでよ」

『してねぇよ。明日、女用にちょっと吸いやすいやつ買ってやるよ』

「…いいの?」

『あぁ、煙草仲間が出来て嬉しいぜ』


そう言った兄ちゃんはあたしの髪をくしゃりと撫でて本当に楽しそうに笑った。


「じゃあフィン兄ちゃん、吸うときは誘ってよ?」

『おう』


次の日から、あたしとフィン兄ちゃんは日向ぼっこしながら煙草を吸うのが日課になっていった。



 

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