瞳に魅せられて

□何気ない日常
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「…ウボォー兄ちゃん!!」

『んあ?』

「またあたしのパン食べたでしょ?!」


突然ですが、あたし15歳になりました。
あれから8年が経ちその間に新しくコル兄ちゃん(コルトピ)とボノ兄ちゃん(ボノレノフ)を迎えて、相変わらず兄ちゃん・姉ちゃんたちと仲良く過ごしてきた。

今では凶悪犯罪者集団だなんて言われる有名な盗賊になり、強盗や人殺しは日常だけど。
それでもあたしたちは普通の兄妹のように楽しく毎日を送っている。


『た、食べてねーよ』

「じゃあ、口についてるパンカスはなに?」

『!!こ、これは…えー、あー、すまねぇ』

「もー、言ってくれれば兄ちゃんの分も買うのに」


アジトの近くでお気に入りのパン屋さんを見つけてから何度も繰り返しているこのやり取り。


『妹に金払わせるわけにはなぁ』

「…妹のご飯食べたくせによく言うよ」

『うぐ……』


呆れて溜め息を吐くけど本当はこんなやり取りが楽しくてしょうがない。
そこに、煙草をくわえたフィン兄ちゃんと眠そうなフェイ兄ちゃんが入ってくる。


『なんだ、またウボォーに食われたのか?』

「うん」

『妹から取る、良くないね』

『…』

「いいよ、あたし今からパン買ってくるけどいる人?」

『サンドイチ、頼むね』

『俺は遠慮するぜ、すまねぇなレイ』

「おっけー、ウボォー兄ちゃん気にしないで?フィン兄ちゃんはなにかいる?」

『そうだな…俺も行く』

「じゃあ行こっか」


ウボォー兄ちゃんとフェイ兄ちゃんに行ってきます、と手を振り、フィン兄ちゃんとアジトを出た。

思えばフィン兄ちゃんとこうして二人で出かけるのはすごく久しぶりな気がする。
半年ぶりかな…それまでは毎日のように出かけてたのに。


『どうした?』

「え、あ、ううん!なにもない」

『変なやつ』

「うるさいなー」

『いらっしゃい、あらレイちゃん』

「おばちゃんおはよー」

『またお兄さんに食べられたのかい?』


パン屋さんに着くと夫婦で店を営んでいるツキばあちゃんにはお見通しなようで、クスクスと笑っている。


「そうなんだよー、ツキばあちゃんのパンが美味しいからね」

『ふふふ、ありがとう。あらお兄さん?』

「うん、フィン兄ちゃん。」

『どーも』

「ツキばあちゃん、クロワッサンとサンドイッチと・・・兄ちゃんどうする?」

『あー…俺もサンドイッチ』

「じゃあクロワッサン4つとサンドイッチ2つくださーい」

『はいよ、ありがとうね』

「また来ますねー!!」


店を出てすぐクロワッサンを取り出すあたしにフィン兄ちゃんは呆れ顔で煙草を吹かす。


『お前もう食うのかよ』

「焼きたてが一番美味しいもん。ほら、食べてみてよ」



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