瞳に魅せられて

□小さな妹
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『…どういうことだ』


俺の部屋の俺のベッドで俺の隣で幸せそうに眠るコイツの髪を撫で、昼間カミングアウトされた話を思い返す。


―人間じゃない

―俺とナツキの子だ


ハルキとナツキは男だ。
死神やら鬼神やらに性別があるのかは知らないが、あれは男だろう。
人間ではないのだから妊娠とかじゃないのかもしれない。
・・・じゃなくて、“死”神と“鬼”神の子だから“死鬼姫”ってことか。


「ん…むにゃ……」


だがコイツはあの二人を友達だと言っていた。
本人にはまだ言っていないのか?

さらさらで柔らかい髪は銀と赤で、言われてみれば赤はナツキ譲りで銀はハルキ譲りか。


『レイ』


瞳が嫌われていたのが未だにわからないが。
どれほど辛い事を言われたんだろうか。
悪魔だと言われ、気味悪がられ、髪を引っ張られ、挙げ句に捨てられた。


『俺が、守ってやるからな』


にーちゃんが、守ってやる。




















『レイ起きろ』

「うにゅ…」

『…レイ』

「すー、すー」


起きない!!!!
身体を揺さぶっても頬をペチペチと叩いても全く起きない。


『レイーっ』

「んぁ…?ふぃんにーちゃん…?」

『朝だぜ』

「おあよー」

『…はよ』


呂律がまわってなくてふにゃふにゃなレイは驚くほど可愛い。
フッと笑って頭を撫でると瞳を擦り身体を起こした。


『よく寝れたか?』

「うんっ!」

『俺は出かけるけど―――』

「いく!!」

『だろうな』


さっきまで眠そうに瞳を擦ってたくせに、今はキラキラと瞳を輝かせている。
広間に行くと珍しくメンバー全員が揃っており、ハルキとナツキもいた。


〔あ!姫!!〕

〔おはよう姫〕

「なーくん、はーくんおはよっ!」

『朝から元気だね』

「にーちゃん、ねーちゃんもおはよ!」

『おはよう』

『そうだレイ、これ着なよ』


元気なレイに全員が顔を綻ばせ、マチはワンピースのようなものを持っていた。
恐らく昨日作ったんだろう。


「?」

『アンタの服だよ』

「っほんとに?!やったぁ♪マチねーちゃんありがとう!!」

『これぐらいどうってことないさ』


レイを見るメンバーの顔のだらしなさはきっと一生忘れないな。
俺たち蜘蛛はちっせー妹にゾッコンだ。



 

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