瞳に魅せられて

□死鬼姫
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俺は滅多にしない拾い物をした。
朝から出かけに行ったやつらみたいにフラフラと歩き回っていたら、コイツがいた。
タイミングの悪い…親であろう男女が一人の子供を置き去りにする場面に出くわしたんだ。


「すてられちゃったの」


そう言うコイツの顔は泣きそうなのに口はにっこり笑っていた。
気付けば俺はコイツを背負ってホームに来ていた。


「おにーちゃん」

『あん?』

「すごいみられてる」

『フェイタン、怖がらせんなよ』

『誰ねそのガキ』


そういや…


『知らねぇ』

『は?』

『名前、知らねぇ』


それまで俺の腰にしがみついてたコイツは顔だけをだし、困ったような顔をする。


『お前、名前は?』

「ん、おともだちは“しきひめ”ってよぶよ」

『お友達どこいるか』

「んとね、あたしがよんだらいつでもきてくれるよ」


はーくん、なーくん。と恐らく友達とやらの名前だろうそれを呼べばすぐ後ろにでてきた凄まじいオーラの物体。

コイツ曰く、
銀髪猫毛頭から二つちょこんと角が生えて金棒を持っているのがはーくん
赤髪で黒い布をかぶってでかい鎌を持っているのがなーくん
らしい。


「はーくん!なーくん!」

『っなんだよこのオーラの量は!!』

〔死鬼姫、久しぶりだな〕

〔ったく、姫ったらなかなか呼んでくんねぇんだもんな〕

「う〜…ごめんね?」

〔まぁ、いいじゃねぇか。ところで姫〕

〔コイツらめっちゃ警戒してんぜ?〕

「え?あ、えっと…おともだちのはーくんとなーくんだよ!」

『……』

〔姫、俺が説明する。俺は鬼神-オニガミ-のハルキだ〕

〔俺は死神-シニガミ-のナツキ。まぁ俺らは姫の友達っつーか、なんつーか…〕

〔とりあえず姫のオーラ、念で身体が与えられてんだよ〕

『身体がっつーことは、存在自体は念じゃねぇのか?』

〔まぁそうだな〕

『さきまでオーラまたく感じなかたよ』


そう、フェイタンの言う通りこの二人が出てくる前までコイツにオーラを感じなかった。


〔どんな念能力者でもわかんねぇよ。姫は“絶”の達人だからな〕

「はーくん、なーくんむつかしいおはなし?」

〔あぁすまない、俺たちの存在を説明していたんだ〕

「はーくんとなーくんはあたしのおともだち!!」


そう言ってふにゃっと笑うコイツはナツキとやらに抱え上げられ、いわゆるたかいたかいをしてもらいキャーキャーと喜んでいる。


〔だぁーっ!ほんっと姫は可愛いな!!〕

「きゃははっ」

『おい、ハルキとか言ったな』

〔あぁ〕

『なんでアイツは悪魔なんだ?』

〔……悪魔、あの一族が言ったんだな。強ち間違いではないが悪魔ではないさ。人間でもないがな〕


人間じゃない、だと?


〔姫は…




俺とナツキの、子だ。〕



 

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