瞳に魅せられて

□どうして?
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「おかーさん、おとーさん」


どうしてあたしのめは
みんなとちがうの?


どうしてあたしのかみは
みんなとちがうの?



『うるさい!!!!』

『気味の悪い瞳で見ないで!!』


あたしの瞳と髪は、みんなに嫌われる。
なんでだろうって、鏡を見ればすぐにわかった。
気持ちが高ぶるとね?
みんなの瞳はきれいな緋色になるの。
でもあたしの瞳は、みんなと違う瑠璃色。
それからあたしの髪はみんなみたいな金髪じゃなくて赤と銀なの。


『早く始末しないと……っ』


始末って、なぁに?
ねぇおとーさん、こんな時間にどこにいくの?


『ここでいいじゃない!』


ねぇおかーさん、どうしてあたしを置いていくの?
かくれんぼ、するの?


『あぁ、ここならすぐに死ぬ』


おとーさんとおかーさんはお馬さんに乗っていっちゃった。
ここ、どこかなぁ?
いっぱいゴミがあってお家がないよ。


『おいガキ』


わわ、このおにーちゃん眉毛がない。
それに、おにーちゃんも子供でしょ?


『ここでなにしてる?』

「…あたしのめ」

『あ?』

「きみがわるいんだって」

『……』

「かみも」

『……』

「あたしだけ、いろがちがうの」

『……そうかよ』

「あくまなんだって。なにかなぁ、あくまって」


首を傾げればおにーちゃんはなぜか怒った顔になった。


『お前……』

「あのね、あのね?わかってるよ…あたしね?






すてられちゃったの」


なんで?なんて、言わないよ。
だって、なんで?って言ったらおとーさんもおかーさんも叩くから。


「ほんとはね、ぜーーんぶわかってたんだ」

『俺と来るか?』

「あたしあくまだよ?」

『知るか、んなもん』

「おにーちゃん」

『あ?』

「いっしょにいく」

『あぁ、来い』


眉毛がなくて少し恐い顔のおにーちゃんは、にっこりと笑った。
それからおんぶをしてくれてすごく楽しかった。


はじめてのおんぶはあったかくてあたしはずっと笑ってた。





どうして、あたしはみんなとちがうの?

―君は人と違うの

どうして、あたしはここにいるの?

―君は捨てられたのよ

どうして、あたしはすてられたの?

―君は生きてちゃ駄目なの



ぜんぶ、知ってたんだよ
おかーさん、おとーさん



 

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