二度目の人生
□ふわふわします
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自覚して、受け入れたこの感情は不思議な感情だった。
『桜姫、朝だよ』
「ん……」
毎朝起こす前に寝顔を見て、
声を掛けて体を丸める姿を見て、
体を起こして着流しが肌蹴ているのを見て、
理性を揺すられて一日が始まるのが日常になりつつあった。
「うまー、猿飛おかわりっ」
『はいはい』
それから桜姫に味噌汁のおかわりを入れて
「翔、今日の予定は?」
『体術の方を』
舞桜衆の鍛練に少し嫉妬して。
数日前じゃ考えられない状況だ。
その変化を嬉しいと思うんだから末期だと思う。
「猿飛!餡ころ餅作っててな?」
『わかりましたよっと』
「やった。翔さっさと稽古始めんぞ!!」
『柚稀様、手加減はしてくださいよ?』
「さぁなー」
ふと気付くと桜姫の事ばかり考えて、じっと見つめている。
この感情は己の身も主の身をも危険にさらすかもしれない。
だけどきっと何よりも強い力になると思う。
生きる理由を見つけてしまったから。