二度目の人生

□もやもやします
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『―――?』


ここ数日、俺様おかしい。


『さ……け』


なにがって、上の空っていうか。
とにかくおかしい。


『佐助!!』

『っうお……だ、旦那どうしたの?』

『それは某の言葉でござる』

『へ?』

『ここ三日、お主様子がおかしいではないか』

『三日……か』

『うむ。宴を開いた翌日からだぞ』


言われてハッとする。
翔からあの話を聞いたから?
桜姫の額に口付けをしたから?


『……旦那、ちょっと額貸してよ』

『?』


頭の上に“?”をたくさん出しながらも額を前に出した旦那のそこにちゅっと口付けをしてみた。
案の定旦那の顔はみるみる赤く染まっていく。


『は、は、破廉恥でござるぅぅぅぅ!!!!』


一瞬でその場を離れて屋根にいる俺様は旦那のお馴染みの叫びを聞きながら物思いにふける。
桜姫の時と同じように額に口付けをしてもなんともない。
じゃあなんだ?


『桜姫だから……?』


待て、待て待て待て待て!
確かにあの時の桜姫はいつもより色っぽかったし可愛かったけど……
毎朝肌蹴た着物でふにゃりと笑っておはようと言う桜姫は堪らなく可愛いけど……


『……まさかぁ』


もやもやする。
あ、桜姫……鍛練かな?
舞桜衆の男ばかりの中にただ一人の女で、やっぱり長い間共に戦場を生きた仲間だからかずっと笑顔だ。
俺様に向けられる笑顔とは、少し違う種類の笑顔。


『って、なに考えてんだ』


舞桜衆が羨ましいなんて……
おかしい!俺様絶対おかしい!!
ぐしゃぐしゃと髪を乱して遅めの仕事に向かった。
織田軍の偵察。
桜姫の存在が知れたら何か動きがあるかもしれないという大将のよみだ。






『貴様……』

『お、かすがじゃん』


木の枝から織田の動きを見ていると見知ったくのいちが現れた。


『かすがも織田の偵察ってわけ?』

『あぁ。……貴様なにかあったのか』

『へ?』

『上の空という感じだぞ』


ギクリと肩を揺らす。
本当にらしくない。


『……来い』


溜め息を吐いたかすがはその場から姿を消した。
方向からして甲斐か?



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