二度目の人生

□まだまだ子供
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『柚稀様、先に俺が説明してきます』

「ん……頼むわ」


幸村の部屋の前、翔が先に入り俺は一人うろうろと歩き回っている。


『柚稀様』


説明を終えたのか翔は部屋から出てきて俺の肩に手を置いた。


「へ?」

『行ってらっしゃいませ』


グイグイと無理矢理部屋に押し込められて翔は颯爽と庭に走って行く。
あの野郎……!!!


「…………」

『…………』


部屋に入ったもののお互いに無言で、お互いに俯いていた。
その沈黙を破ったのは、幸村だった。


『真に、姉上……なのですか?』

「……うん、そうだよ」


答えた瞬間に目の前には鍛えられた胸板があって、しっかりと幸村に抱き締められていた。


『姉上……っ、姉上ぇ!!』


離す気配もなく、泣きそうに姉上と繰り返す幸村の背中に腕を回して抱き締める。


『会いとうござった……っ!!』

「俺もだよ……元気そうでよかった」

『申し訳な―――』

「謝るのは、無し。あの時幸村を守ったこと……後悔してないからさ」

『うむ……!』


逞しい腕が離れていき、正座をし直した幸村の目からはボロボロと涙が絶え間無くこぼれ落ち、必死に拭っている。


「幸村…」

『違っ、違うのです!某は泣きたい訳では―――』

「いいじゃん、泣いても」

『しかし……っ』

「俺のいた世界では幸村の歳でもまだ子供なんだよ」


頭を抱き締めて優しく撫でてやると嗚咽を漏らして暫く泣いていた。


『すー……すー……』


泣き付かれたのか寝てしまった幸村を猿飛に任せ、俺は城内探検に向かった。


『桜姫』

「猿飛、幸村は?」

『布団に寝かせときましたよっと』

「そっか、ありがと」

『………』

「なぁ、ちょっと付き合ってよ」



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