やんちゃひめとちしょうさま

□とつぎます
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『椎那入って参れ』

「はーい」


威厳あるお父様の声に対する私から発される声は間延びのした軽い返事。
侍女に呼ばれて、お父様の部屋の前に来て何事かと考えながら部屋に入る。


『毛利殿、こちらが「オクラ」……椎那?!』

『…………』


緑を身に纏い、オクラのような兜を被った…きっと名のある武将殿だろうけど。
思ったことをそのまま言ってしまう私はお父様の言葉を遮って言ってしまった。


『も、申し訳ありません毛利殿!!』

「すみません、つい」

『椎那!こちらは毛利元就殿だぞ!』

「もうりもとなり…様?」

『貴様…我を知らぬのか』

「戦には興味がありませんので、いかなる武将殿も知りません」

『……綾小路よ』

『はっ!』

『この娘が我の室に、と申すのか』

『…はい』


…ちょっと待ちなさいよ。
私がこの人の妻?!
そりゃあ、まあ…見ず知らずの男に嫁ぐ覚悟は整ってる。
でもこの人はなんだか嫌だわ。


「毛利様お止めになられたほうが賢明かと」

『……何故』

「私は自他共に認めるお転婆でございます。毛利様の邪魔にしかなりませぬ」

『…………』


嫌でしょう?
執務や戦に集中出来ないのは。


「ですから―――」

『面白い、貴様を我が妻に迎えてやろう』

『っ真にございますか!』

「え゙」


どうしましょう、私、嫁ぎます。
表情をピクリとも変えない、オクラ武将に。

この話が終わった後、侍女に聞いた話によると……
毛利元就は冷徹冷酷で自軍の兵を“駒”としか思っていないとか。

大丈夫だろうか、私は。







(物凄く)(不安です)
 

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