瞳に魅せられて

□地獄の道
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プルルルルル♪

断末魔と鎌を振るう音だけが響く通路に着信音が鳴り響いた。


「ん…もしもしー?」

《もしもし、シャルナークだけど…》


鳴り響いてたのはあたしの携帯で、相手はシャル兄ちゃんだった。
電話に出ているのを好機と取った馬鹿な囚人どもは一気に襲いかかってくる。


『死ねぇぇぇ…っぎゃああ!』

《わ、もしかして今闘ってる?》

「囚人の群れに襲われてるー」


左手で携帯を持ち、右手で鎌を振るう。


《あちゃー、ごめんね》

「大丈夫、どしたの?」

《仕事の事でさ。9月1日にヨークシンのアジトに来てくれる?暇だったらでいいんだけど、みんなレイに会いたがってるし》

「おっけー、絶対行くね!」

《そっか!ならみんなにも伝えておくよ。試験、頑張って》

「うん、ばいばーい」


ニコニコと笑いながら通話を終えたレイに隣で鎌を振っていたナツキが首を傾げる。


〔誰だ?〕

「シャル兄ちゃん。9月1日にアジトに来いってさ。仕事仕事」

〔9月1日って、まだまだじゃねーか。んなに大事な仕事なのか?〕

「うーん、どうだろうね?」

『て、てめぇら…なめてんじゃねーぞ!!!』

「ふふっ」


ザシュッ


『ぐあぁぁぁ!』


耳障りな汚い叫び声、汚い返り血、無様な死体。
地獄の道とは強ち間違いではなかったのかもしれないと、この様子をモニタリングしていた試験官は思っていた。


「あれ、終わり??」

〔でもまだ人間の臭いすんぜ〕

『ほう、ここまで来るとはな・・・お前たちにはここで勝負をしてもらう!先程までのような弱者とは違う、念能力者だ!!』


通路とはまた違った、広い空間にでたあたしたちは目の前で説明をしていく男を黙って見つめる。
勝負は一対一、二人で合わせて二十勝しなければ次に進めないらしい。


『さぁ!まずはどちらが勝負なされるのか?』

「なーくん、あたしが終わらせてもいい?」

〔あぁ、いいぜ。行ってこいよ〕


ニカッと笑って了承してくれたなーくんは壁にもたれて座り込んだ。
あたしはフードを深く被り直し、一度伸びをすると部屋の中心へと足を運ぶ。


『おいおい、女じゃねーか』

「えへへ、オジサン御手柔らかにー♪」

『……それでは』

「あ!ちょっと待って、二十人いっぺんに相手するよ」

『は?』

「だから、一人一人相手してたらきりがないでしょ?」

『クックック、なめられたもんだなァ。おい、てめーらやっちまえ』







「いっちょあがり♪」

『な……っ』


地面に転がる人間だった二十の屍の中心に立ち鎌を肩に担いで言えば試験官の男は暫くの沈黙のあと、この通路をまっすぐ行けば外に出られる。と言った。


〔おつかれ〕

「なーくん!どうだった?」

〔言うことねーよ、完璧〕

「やった!ね、はやく行こうよ」


鎌を魔界に返してあたしたちは出口へと向かう。
試験官が言った通りまっすぐ歩くと扉が現れ、外に出ることが出来た。


『101番102番!合格!!』


試験管の声と共に両手を上に伸ばして身体をほぐす。
弱い人間だとしてもあの量は少し疲れた。
すでに到着していたヒソカに手を振り、あたしたちは木の陰に腰を降ろす。


〔姫、膝で寝るか?〕

「んー…」


こてん、となーくんの胡坐に頭を乗せて目を閉じる。
疲れたなー…。





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