自由気儘な猫

□モテ男
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チカから離れてあたしは部屋に行って制服に着替えてさっき話してた通りパーカーを羽織る。
時計を見ると丁度いい時間だった。


「チカそろそろ行く?」

『おー、そうだな』

「なにで行くのー?」

『バイク』


というわけでバイクのケツに乗っけてもらって学校に向かう。
バイクだと余計に風が強く当たって寒かったから、いつもはしないのにお腹に手を回して抱きついていた。
おかげでぬくぬくだ。


「チカさんきゅ」

『おうよ』

「お礼に飴あげるわ」

『……もらってやるよ』

『『『きゃーっ!!元親さま!!』』』

「……」

『おはようございます元親さま!』


バイクを降りて少し歩いただけで女子生徒はチカに気付き物凄いスピードで近寄って来る。
あたしがどうしたものかと考えている間にもチカは囲まれていき、誰かに押されて体がぐらついた。


『っと、大丈夫かい?』


グッと肩を抱かれて体勢を立て直せたあたしはポニーテールの男を見上げる。
誰?


『俺は1-Aの前田慶次!』

「慶ちゃんか…あたしは1-Bの佐々木 聖」

『聖ちゃんって、もしかして元親と仲の良い?』

「うん、慶ちゃんも仲良いらしいね」

『聖ちゃん会ってみたかったんだよねぇ。よろしくね』

「よろしく」


慶ちゃんと話ながらチカから離れて靴箱に向かうとユキとさっちゃんがいてこちらもすごい人だかりだ。


「……邪魔」

『相変わらずすごいなー』

「帰りたいんだけど」

『あはは、聖ちゃん怒っちゃ駄目だからね』

「まぁ女を殴る趣味はないし」


慶ちゃんのクラスの靴箱には人は少なくさっさと上履きに履き替えに行ってしまったのであたしは溜め息をはいてその集団に突入していく。


『きゃーっ!!』

『佐助さまぁっ!!』

『幸村くんー!!』

「邪魔だってーの」

『は?!なによアンタ!!』


あたしの発言が聞こえたらしい女子が叫んだおかげでファンの皆さまの視線はあたしに向けられた。


「………」


最悪としか言いようがない。
あたしの嫌いな女の嫉妬の視線。
急に静かになった女子を不思議に思ったのかさっちゃんとユキが背伸びをしていて目が合った。


『あ、聖ちゃん』

『聖殿!おはようでござる!!』

「さっちゃんにユキおはよ。この女たちどうにかしてくんない?」

『ごめんね…みんなちょっとその子通してあげて?』


さっちゃんが営業スマイルで言うと途端に頬を染めた女共が道を開けた。
恐るべしさっちゃん。


「どーも」

『聖ちゃん一緒に教室行こう』

「ん、行こ行こ。ユキ飴いる?」

『よいのですか?!ほしいでござる!』


はしゃぐユキにチ●パチャップスを渡して慶ちゃんとも合流して四人で廊下を歩いて行った。
あたしに向けられる鋭い視線に苛立ちながら。



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