蜘蛛の糸に絡まった兎ちゃん

□兎ちゃんの決断と別れ
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電話が切れた途端、後ろから抱き締められてふわりと香るふーたんの匂いに振り返って背中に手をまわす。


「・・・ふ、ぅ・・・っ」


ぽんぽんと頭を撫でられ涙が止まらない。


『ワタシ嬉しいね』

「っ・・・ふーた、ん」

『カンナといしょに居れるの嬉しいよ』

「うん・・・っ」


ゴシゴシと涙を拭いふーたんから離れてみんなに向き直る。


「・・・ついてきて欲しいとこ、あるんだ」


































途中で花束を買って向かったのは―――


「・・・父さん」


父さんの墓。
あの時聞こえてきた断末魔はやっぱり父さんのもので、殺した後お墓を作ってくれたってのは聞いてたけど一度も来たことがなかった。


「元気?母さんと、仲良くしてる?」


花束を置いて話しかける。
蜘蛛のみんなは一歩後ろで顔をふせていた。


「俺ね、父さんの事嫌ったことないよ。2年間監禁されてた時も、この世界で会った時も嫌いじゃなかったし・・・むしろ好きだったんだよ?そりゃ、怖いとは思ってたけど」

『・・・カンナ・・・』

「だって父さん寂しかったんでしょ?大好きで仕方なかった母さんが死んで、助けてやれなくて気が狂いそうだったんでしょ?知ってたから嫌いになんてなれなかった」


涙が一粒頬を濡らした。
駄目だなぁ、最近泣いてばっかだ。


「6年前、母さんが死んだ時に殺してあげればよかったね。ごめんね父さん。俺にはそんな勇気無かったんだ。一人になるのが怖かった。でも、今は一人じゃないから。・・・俺ここに残るんだ、蜘蛛のみんなと一緒にいる。」


涙を拭い振り返ればニッと笑っている大事な仲間たち。


「父さんのおかげで出会えた、すごい感謝してる。俺はこの世界で誰よりも幸せになるから、父さんもそっちで誰よりも幸せになってよ?たまには、顔見せにくるからさ」


無理矢理作った笑顔でばいばいと言いお墓に背を向けて番傘で顔を隠す。


「・・・帰ろっか」

『・・・あぁ帰ろう』

『さーて、今日はパーティーだな』

『酒でも盗って帰るか』


うぼーとノブの声に思わず顔を出して首を傾げた。


「パーティー?」

『お前居ることに感謝をして、な』

「・・・じゃあチョコも盗ってきて!」

『くくくっ、お前はそればっかだな』

『いつか太るね』

「ふーたん酷い・・・クロロもプリンばっかじゃんか」

『確かに』

『・・・なんだお前ら』



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