蜘蛛の糸に絡まった兎ちゃん

□ゆらりゆらり、揺れる兎ちゃん
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ふーたんを困らせたくなくて涙でぐしゃぐしゃな顔で笑うと深いキスが落ちてきた。
深く深くなんども角度を変える甘いキスに思考が奪われていく。


『もとの世界戻るなら・・・』

「ん・・・?」

『ワタシも行くね』

「っ・・・」

『蜘蛛を捨てる事になてもワタシは―――』


ふーたんの言葉を遮るように手で口を塞ぐ。蜘蛛を捨てるなんて、ふーたんの口から聞きたくない。


「駄目・・・俺が戻ってもふーたんは連れていかない」

『なぜね!』

「そんなことをしたらきっと、後悔するから・・・。神威もふーたんもいたらそりゃ幸せだけど後悔すると思うんだ」

『・・・』

「ふーたんまで悩むことないじゃん。ほら、太陽の位置が変わったから俺死んじゃう」


真上だった太陽は傾いていてもう少しで俺らがいる場所は日向になってしまう。
ふーたんはハッとして俺を抱き起こして位置を変えて座り、俺はふーたんの足の間に座り体重を預ける。


「俺この世界に来たときから、ふーたんの事気に入ってたよな」

『あぁ、美術館だたか』

「そうそう、あん時はただ殺り合いたかった」

『やるか?』

「やだ」


クスクスと笑うと後ろから逞しい腕に包まれる。
あの時はここが何処かなんて気にしてなくて、ただ目の前の強い奴と戦いたかった。


『驚いたね、あとはお宝奪て帰るだけだだのに』

「俺もビックリだよ。最後の一人殺すところで急にさ。ま、そのおかげでふーたんに会えたしあの雑魚にも感謝だな」

『そうね感謝してやるよ』

「ふはっ、にしてもクロロは怖かった」

『あのビビりようは見物だだね』

「なんで怖かったかは覚えてないけど・・・ふーたん助けてくんなかったし」

『お前の事認めてなかたからな』

「そういや反対してたなー、あの後の飯ん時は普通だったじゃん。なんで?」

『・・・』

「なぁ、ふーた・・・」

『こち見るな』

「っ・・・ふーたん顔真っ赤」

『う、うるさいね』


振り返った途端に顔を掴まれて前に戻されたから一瞬しか見えなかったけどふーたんは耳まで真っ赤にしてた。


「・・・ふーたん教えてよ」

『・・・こち見ないて約束するか』

「たぶん」

『なら言わないね』

「見ません見ません!」

『・・・広間で寝てたお前の顔見たよ』

「げ・・・」

『ワタシだけ違うね他の奴らも見たよ』

「恥ずかし・・・」

『寝顔が、可愛かたから・・・きとその時から好きだたね』

「―――っ」


くるりと体の向きを変えてふーたんの顔を見つめると慌てて目を手で覆われた。


『こ、こち見るな言たね!』

「ふーたん大好き」


手探りで頬に手を当てて笑う。


ちゅっ


『・・・ワタシも好きね』



ふーたん、神威、俺決めたよ。
きっと初めから決めてたんだ。
ただ、その答えを自分の中で認めてしまうのが怖かっただけ。
俺は―――



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