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□滝総介(↑続き)
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※滝総介の話の続き


「で、名前は一体いつになったら素直になるんだ?」


『・・・・・・は?』


テスト週間。わりと昔から仲のいい私と和泉はテスト勉強をするためにファミレスでドリンクバーだけ頼んで勉強をするというのがいつの間にか習慣になっていた。私のグラスはもう空で、そろそろおかわりしに行こうかと英語の教科書に附箋を貼っていた時だった。急に訳のわからない質問をされたのは。


『あんたそういえばよくもこの前本屋行く約束ほったらかして先に帰ったわね?』


「・・・・・・嬉しかっただろ?」


『何が?』


「総介と二人きりになれて」


『は・・・はぁ!?』


和泉はグラスを振り残った氷をカラカラ鳴らせる。その顔はまさにドヤ顔。


『・・・・・・もしかして和泉はわざと帰ったの・・・・・・?』


「そうだが?」


『あんたね〜・・・。どれだけあの状況が窮屈だったか分かる?』


「普段は喧嘩しつつ会話してるじゃないか。何が窮屈だったんだ?」


『え?・・・・・・あれ・・・そういえば』


「もう一ついい事教えてやろう」


『・・・・・・ん。何?』


「総介は本が嫌いだ」


『・・・・・・まぁそんな感じはする』


というよりも体育会系=本嫌い。だなんて勝手な方程式が私の中でたっていた。あくまで勝手な私の決めつけだけど。


「本を見るだけでクラクラするとも言っていたな。」


『はぁ。』


「なのにアイツがお前に付き添って本屋に行った。意味、分かるか?あ、ついでにジュースのおかわり持ってきて。ジンジャーエール」

『・・・・・・そういう気分だったんでしょ』


そう吐き捨てて和泉のグラスと私のグラスを持って立ち上がろうとすると同じタイミングで鳴り響いた入店音。ふと目をやると思わず椅子に座り直してしまった。来店したのはまぎれもない、さっきまで会話の元になっていたヤツとその弟。


「どうした名前。おかわり行かないのか?」


『いいいい和泉!謀ったの!?』


「は?何を・・・・・・おぉ総介。」


思わず和泉の頭を掴んで伏せさせて気づかれないようにこの場を出ようと思ったけど弟である方が私達に気づいてしまった。しかも手を振って私達を呼んでるじゃないか。これほどまでにあの可愛い子を憎んだ事はない。


「名前せんぱーい!」


『・・・・・・ど、どうしたの快彦君。お兄さんと一緒に』


「今日親いなくてご飯食べにきたんです!」


『へ・・・へぇ』


「名前じゃねぇか」


後ろから出てくる滝(兄)に肩がはねる。


『・・・・・・奇遇ですね。』


「・・・・・・和泉と仲良くデートかよ」


『・・・・・・それが何か』


皮肉めいた言葉にそう返してやると彼の口元がひきつった。


「あーそうかよ。テスト週間までイチャイチャとご苦労様だな」


『・・・・・・なにそれ。自分に恋人いないからっていう嫉妬?』


「―!?・・・お前等・・・そういう関係なのか?」


「総介ちが『そーですけど』おい名前・・・」


「・・・・・・おい快彦。違う店行くぞ」


「え、何で・・・」


「邪魔しちゃ悪いからな。じゃーなお二人さん」




思い切り私を睨んだ後振りかえる事無く店を出ていく滝を私も見ることはなかった。見えたのは目の前でため息をつく和泉の呆れた顔だけだった。



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