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□滝総介
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※夢主木戸川マネ
「お疲れ様でした!!」なんて部活終了の合図。新しく来た美人な男性か女性か分からない監督に今日の選手記録を提出して荷物をまとめる。
「名前先輩お疲れ様でした!」
『快彦君お疲れー。また明日ね〜』
「はい!」
小さな体が元気よく頷いて夕焼けで赤みがかかった門へ走っていった。うん、青春だなぁ。
「おい名前、何ヘラヘラしてんだよ」
『・・・・・・滝・・・兄の方にはまったく縁の無い話よ。弟を見習ってほしいぐらい』
「あ!?」
『弟はあんなに可愛いのにあんたは何でそんな口も悪いし態度も悪いのかな』
「喧嘩売ってんのか?てめぇは」
『先に話しかけたのはあんたでしょ。』
暫く睨み合いをしていたけど我が部のキャプテン、貴志部が滝の首ねっこを猫のように掴んで後ろに引っ張る。
「またやってるのか」
『「貴志部!」』
『でも滝が先に・・・!』
「はぁ!?名前が」
「痴話喧嘩もいい加減にしてくれないか・・・・・・鍵を閉めたいんだ」
「ハ・・・ハァ!?お、おまっ何言ってんだよ!?」
『だ、誰がこんな口悪い奴と!』
「他の部員達もいつお前達がくっつくか心配してんだぞ?特に和泉とか」
和泉は私と小学校からの友達で私のお母さんみたいな人。そういえば今日和泉と帰る約束してたはずなんだけれど彼の姿が見えない。ハッとして周りを見回して探していると私の様子に気付いた滝が、思い出したように口を開いた。
「和泉なら帰らせた」
『帰らせたって・・・・・・私今日和泉に本屋付いてきてもらおうとしたのに!』
「・・・・・・俺暇だけど」
『は?』
「だああぁぁぁ!!俺が暇だから付き合ってやるって言ってんだよ!感謝しろ!」
『は・・・・・・え、どうも・・・』
「おら、行くぞ」
無理矢理繋がれた手を引っ張られ、半ば引きずられるように門に向かう滝。後方にいる貴志部に助けを求めてはみたけど彼はヒラヒラと面白いものを見たかのような笑みを浮かべて手を振っていた。
再び滝を見たらその横顔は夕焼けのせいもあってか真っ赤で、私もつられて赤面した。そのせいで途中まで本屋の道が逆方向だって事に気づけなかった。
201112092340