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□吹雪士郎
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夢主元イナジャパマネ設定
吹雪白恋追放後


「ごめんね、急に来てお世話になって」

『いいよいいよ、監督クビだなんて大変だねー』

「クビじゃないから」

吹雪はフィフスセクターの手に落ちた白恋を救ってもらうために円堂が監督をしているという雷門中へ向かった。しかし北海道を出て東京に着く頃にはもう部活は終わっているだろう時間帯で、雷門に行くのは明日に回し、今でも連絡を取り合うほど仲のいい、元イナズマジャパンのマネージャーである名前の家に一晩泊めてもらう事になった。しかし今はサッカーに関わっていない仕事をしている名前には今のサッカーがどんなものになっているか知らない。だからフィフスセクターの事は内緒にし、ただ東京に顔を出しただけという名目でお世話になっているから監督をクビになったという嫌な誤解を解けないままでいた。

『吹雪ニートかー。今のご時世そんなに仕事見つからないよ?あ、でも元イナズマジャパンって言えば仕事すぐ見つかりそうだよね』

「名前?違うからね?」

『で、明日雷門中に遊びに行くんだっけ?私も行きたいけど明日仕事なんだよね〜』

「そうなんだ。円堂達には会わないの?」
『うーん・・・夏未にはよく会うけど旦那の方には会わないかな・・・。あー私も旦那欲しいなぁ・・・』

「今予定は?」

『相手すらいないよ・・・。どうせモテ男にはわからないよこの気持ちー』

名前が冷蔵庫から二本お酒を取り出して吹雪に一本投げてやると、焦っていたけれどしっかり受け止めた。
プシュリッという音はやがて自棄になった名前の喉の音に変わる。

「名前は可愛いのにね。なんなら僕が貰ってあげたいぐらいだよ」

『・・・・・・は?何言ってんの』

一気飲みをしたせいで赤くなった頬はさらに赤くなり、その顔を隠すために吹雪の両頬をつねる。

「いひゃい、いひゃいよ」

『私を口説くならきちんと口説きなさい!じゃなきゃ私はあんたみたいなタラシに揺らがないんだから!』

「きちんと・・・」

バチッという効果音を発しそうなぐらい勢いよく伸びた頬が戻る。吹雪の頬は赤く腫れ上がっていた。吹雪が呟いて顔を俯けたから、そんなに痛かったのかとあわてて名前が謝る。それでも反応のない吹雪を覗き込むと、名前の腕が思い切り引っ張られて彼の昔とは違う広い
胸板におさまった。

『ちょっ吹雪・・・』

「今のサッカーを何とかしたらまた改めて言いに来るよ」

『は、はい?何言って・・・』

「だから後少しだけ待ってて」


訳のわからない名前はそのまま首を傾げる。しかし吹雪は満足げな顔になると名前を解放し、机に置いたお酒を開けた。

「飲もう、名前」

『え、あ・・・乾杯?』


(さて、早くサッカーを取り戻さないと)

小さく掲げた二つの缶がいつか祝福の乾杯になりますように。



201111102225

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