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□南沢篤志
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※南沢離脱後話
『南沢〜』
ふと前方のベンチでピンクの携帯をいじる同級生を見つけて顔を除き込む。
『南沢〜部活はどうした?サボりか?内申下がるぞー?』
ケラケラと笑うが返事が帰ってこない。
ずっと携帯をいじって俯いたままだ。
いつもと違う雰囲気に思わず肩を掴んで顔を無理矢理あげさせると、その手に一滴の雫が垂れた。
『みなみ・・・さわ?』
「部活・・・」
『え?』
「やめてきた。部活。」
『・・・・・・は?』
南沢がサッカーを好きだって事は小学校からの付き合いだからよく分かる。
内申のため内申のためって言ってたけど実はサッカー大好きだって知ってる。
『な、なんで?サッカー好きなんだろ?もう引退なのに・・・なんで・・・』
「サッカーなんて内申のためだ」
『じゃあ・・・どうして泣くんだよ・・・なんで・・・』
「もういいだろ。あっち行けよ」
『行かない』
「行けよ!!」
『南沢!!』
「・・・っ!」
平均よりも小さな体を抱き締めると南沢特有の甘い香りが鼻をかすめる。
『南沢・・・、私は・・・サッカー部に何が起きてて、どうして南沢が部活やめるのか全然わかんない。・・・でもさ、泣きたい奴の涙を受け止めるぐらいならできる。我慢しないで・・・・・・泣きなよ』
南沢が唇を噛んだのが分かった。
そして彼の手がゆっくりと私の腰に回される。
「一個言っておくけどな」
『うん』
「人前で泣くの親以外にお前が初めてだからな」
『・・・しょうがないなぁ。受け止めてあげるよ』
受け止める
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