wing arch
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『はい、スポドリ欲しい人〜』
「風子、皆欲しいから。普通に渡そうよ」
分からないよ葵。もしかしたらいらない人がいるかもしれないじゃないか。(私の悪戯のせいで)
『キャプテンのにはスポドリの代わりに午前の紅茶いれときました』
「そうか。待ってやるから今すぐ買ってこい」
「ねー朝比奈ー。なんかこの水しょっぱいんだけど」
『あ、浜野先輩のは海水です』
「・・・・・・」
「ちょっ!さすがの浜野も言葉失ってんじゃねーか!そして俺のは牛乳だ!」
『もー倉間先輩。怒っちゃやーよ』
「キモいわ!」
仮にも女の子にキモいはないだろ!そんなんだからモテないんだ!蛇のやつ・・・さ・・・サイド?サイド?フォース?えっと、なんとかワインレッド入らないんだ!
「サイドワインダーな」
『やだ倉間先輩。心読まないでください。私の事好きなんですかー?』
「お前を好きになるぐらいなら家の裏で死んだマンボウを愛すわ」
『そこまで言う』
私そこまでか。無人島に私とマンボウどっちかしかいなかったら迷いなくマンボウを取るのか。マンボウでかいよ?倉間先輩なんて豆粒だよ?
「そういう朝比奈は好きな奴いないのー?」
『やだ浜野先輩ナンパですか?私の事好きなんですかー?』
「ん?好きだよ?」
『え』
全「えええええぇぇぇぇぇ!?」
『え、マジっすか?』
「いや、likeでね?」
『で、ですよね!私何か女のクズですもんね!』
「自分で言ってて悲しくないか?」
『分かってるなら言わないのが優しさですよスネーク先輩』
別にモテ期到来したとか思ってなかったから!小さい頃から天馬といたせいか告白された事ないよ・・・・・・あれ
『あれ、天馬は?』
「忘れ物したとかで更衣室に戻ったぞ」
『忘れ物・・・あ、私も宿題やってない。今から更衣室でやってきます!』
「なぜ更衣室でやる」
私朝は見てるだけだし暇だし暇だし暇だし。時間の有効活用だよ。
『天馬ーいるー?』
「・・・・・・」
『てんま?』
「うわっ・・・びっくりした。どうしたの?」
『どうしたも何も天馬も宿題やりにきたんでしょ?一緒にやろうよ』
「んな訳ないだろー?」
『じゃあ何忘れたの』
ちょっ・・・!この人なんかずっと無言なんだけど。怖いよ〜。私が喋った方がいいの?
『え、と。天馬どうかした?いつもの元気はどうしたの?充電し忘れた?』
「・・・・・・風子はさ・・・」
『お、何々?』
「・・・・・・やっぱなんでもない!」
『えー』
そそくさと更衣室を出ていく天馬の背中は何か寂しげだった。
べ、別に気になってないんだから!
調子なんて狂わないんだから!
・・・・・・失恋でもしたのかな?
よし、私が相談にのってやろうじゃないか。私ってなんて幼なじみ思いのいい子なのかしら!
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