ブルーベリー依存症
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篤志の部屋。二人共帰り道に近所で買ってきた雑誌に釘付けで無言で静かだった空気を私が壊してやった。
『ねぇ篤志、私今回の事で分かった』
「んだよ急に」
篤志の背中にもたれ掛かったまま私は読んでいた雑誌を手元に置く。篤志は自分の雑誌は持ったまま私の話を聞く。
『いや〜、私はずっとさ、篤志が私に依存してんだと思ってた訳』
「は?何言ってんだお前。詩だって俺に依存しまくりじゃん」
『そう。私も今回の一件で気づいた。』
「おっせ」
『うるさい』
篤志が体制を変えて胡座をかき、足の上に乗るよう私に薦める。私はそれに甘んじて出来るだけ負担をかけないように座る。
『だから私篤志がいないと生きてけないと思う』
「お、嬉しい事言ってくれんじゃん」
『篤志は?篤志は私がいなくても生きてける?』
「無理。死ぬ」
『じゃあ私達一生一緒にいないと死んじゃうね』
「プロポーズか。それは」
『違うよ。プロポーズはあんたからするの』
「・・・・・・高校は出たいよな、いつ結婚しようか」
『子供は何人?』
「・・・・・・誘ってんのか」
『違う。ただ理想を聞いてるだけ』
「チッ」
『ねぇ篤志、喉かわいた』
「んー。今飲み物切らしてる。コンビニ行くか」
『うん』
財布を持って外に出るともう真っ暗で星がチラチラ見える。月は満月。携帯で時間を見ると19時。何かお腹も空くと思った・・・・・・。そういえば久々の空腹感だ。
「もう暗いな。詩今日泊まってくか?」
『別にいいけど着替え取りに行かなきゃ』
「パジャマ貸すけど」
『いや、下着とか無いから』
「・・・・・・無くて困るか?それ」
『困るわ!』
街灯が立っているだけの暗い住宅街特有の細い道を並んで歩く。ちょうど夕飯時だから色んな美味しそうな匂いがする。カレーだったり焼き魚だったりしょうが焼きだったり・・・・・・。
「そういえばさっきの続きだけど」
『いや下着はいるよ?』
「そっちじゃなくて・・・・・・さっきの結婚の話」
『あぁ』
「俺達まだ中学生のガキだし、これからゆっくり考えてけばいいと思う」
『・・・・・・篤志にしては珍しい事言うね』
「まぁ強いて言うなら、子供は一緒にサッカー出来る男の子が欲しいかな」
『女の子だってサッカー出来るよ』
「お前似の女の子相手に思い切りスライディングとか出来ない」
『いやいや、息子相手にスライディングするつもりか!・・・・・・でも本当にそんな家庭、築けたらいいなぁ』
「そーだな・・・・・・まぁそれまでは二人の時間大事にしよーぜ。詩が子供にばっか構いだしたらたまったもんじゃない」
『意外と篤志が親バカになるかもよ』
「・・・・・・お前似だったら分からんな」
『・・・・・・私も篤志似だったら分かんないな〜・・・・・・』
『「依存しすぎ」』
ブルーベリー依存症
201203112222(完)