ブルーベリー依存症
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「え、南沢さん別れたんじゃ・・・・・・」
「ちっげぇよ。コイツが勝手にそう言っただけだ」
『何浮気したくせに』
「違うって言ってんだろ!」
頑なに自分の浮気を否定しているけどあくまで否定だけ。なぜあぁいう経緯に至ったのか肝心な所は口を閉ざす。それじゃあ私だって篤志を信じる事が出来ないよ・・・・・・。
『・・・・・・南沢!』
「あ?」
名字で呼ばれた事に対しての不服の態度か、あるいは今までのイライラか、どっちもだとも思える機嫌の悪い返事は私をよりいっそうイライラさせた。
『私、今倉間君と付き合う事になったの!』
「「!?」」
二人共凄い驚いていた。篤志は顔を今まで無い以上に歪めたし、倉間君は訳がわからずに何度もぱちくりと大きな目をまばたきさせていた。
「え、先輩!?どーゆー・・・・・・」
「おい倉間、お前詩に何吹き込んだ」
「は?」
誠に申し訳ない倉間君・・・・・・巻き込んでしまって。
「ちょっ先輩何言ってるんすか!巻き込まないでください!」
『空気読みなさいよ倉間君』
「・・・・・・詩」
篤志が私の頬を両手でがっしり掴み無理矢理上を向かせると噛みつくように私の唇に食らいついた。正直キスなんて数えきれないぐらいした。でもいつもと違って痛い。凄い・・・・・・痛い。
『ふっ・・・・・・っ!離せ!』
舌を強めに噛んでやると唇から生暖かい感触は消えたけど僅かに血の味がした。
『最低。倉間君行こっか』
「え、え?」
無理矢理手を引っ張って引きずるように倉間君を連れていく。一回振りかえると、今にも泣きそうな顔をした篤志が呆然と立ちすくんでいるのが分かった。けど私は足を止めなかった。
『・・・・・・ごめんね倉間君巻き込んで』
「俺あんなにカッコ悪い南沢さん見たの初めてです・・・・・・」
『そっか・・・・・・君のイメージを壊してごめんね?』
「いえ・・・・・・あ、あの・・・・・・本気で俺達付き合うんですか?」
『君が嫌なら別にいいけど』
「嫌っていうか・・・・・・だって詩先輩は俺の事ただの後輩としか思ってないじゃないですか」
『・・・・・・そっか。そうだよね、やっぱ好き同士がいいよね・・・・・・ごめんね。』
『じゃあね、倉間君』
手を離してやると、一礼して逃げるように教室棟に走り出す倉間君。あぁ、本当に巻き込んでごめん。
『さて、私は次はもっと平凡な人を探そうかな』
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