ブルーベリー依存症
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クローゼットの隙間から部屋の様子を確認するとさっきの電話の主がキョロキョロと私の事を探していた。てゆーか何故あいつは大きな鞄・・・お泊まり準備万端なんだ!
「詩」
『!!』
バレた!?と思ったら篤志は私の机に何か箱を置いて別の部屋に行ってしまった。しかしあの箱は何だ。気になってゆっくりクローゼットを開けて足音をたてずに机を覗き込む。
『ケーキ・・・?』
駅の近くにあるケーキ屋の箱。私も何度か買った事がある。
「・・・・・・まるで罠にかかった鳥だな」
ハッとして振り向くとドヤ顔で扉にもたれかかる篤志がいた。クソッ罠か!
なんて机を叩くと後ろからそっと抱き締められた。
「悪かったな」
『え、あ、え?』
「そのケーキ、詫び」
『ど、どうも・・・・・・』
え、何。反省してるの?わざわざ詫びまで持ってくるなんて・・・・・・。
「俺、お前の事大事にしてるからさ。つい何か焦って」
『篤志・・・・・・』
何だ。可愛い所もあるじゃないか。
思わず頬が緩む。
『も、もういいよ。ほら、ケーキ食べよ?フォークと小皿持ってくるね!』
「いい。いらない」
『いや、いるでしょ』
篤志は箱からショートケーキを出すとそのクリームを指につけた。何をしてるのかと思ったらその指についたクリームを私の口元に擦り付けた。
『何!?』
「誰が食うために買ってきたって言った」
『いや、ケーキは食べるものだからーってうわっ!』
両手首をしっかりと床に縫いつけられてキスをしそうなぐらいに顔を近づけられた。てゆーか私骨折してるんだけど・・・。そして上に乗ってた苺を口に入れられ、またクリームを顔に擦り付けられた。
「俺が普通に謝るかと思ったか」
『だ・・・・・・騙されたあああぁぁぁ!!』
全てが終わった頃には私はクリームでベタベタ。布団すらクリームだらけの状態に私はキレて篤志を本当に土下座させた。
きっとどんなファンでも土下座した篤志なんて見れないだろう。そう思うと何だか得をした気分になるのだった。
でもやらかした事は許されない。
201112252103