ブルーベリー依存症
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メールが来ない。
いつもなら夜寝る前必ず私の携帯が篤志からのメール受信音を鳴らすはずなのに。
こんな事は初めてだ。私が逃げた事に怒っているのか、それとも何かあったのか。前者の場合私からメールするのは気がひける。そもそも私からメールするなんて滅多にない。するとしたら待ち合わせしたのに待ち合わせ場所にいないときとか、必要最低限のメールばかり。
『もしかして私・・・彼女としておかしい?』
かれこれ五年の付き合いだけど私って何一つ彼女らしい事をしていない気がする。元々篤志がなぜ私を好きなのかも分からないし・・・・・・。告白もあっちからだし。
篤志を好きな女子・・・・・・とかは普通束縛とかされたら喜んだりするのかな。
『・・・・・・はぁ』
ベッドの下に並べてあるアルバムから小学校四年生のクラス写真や遠足の写真を見ると、私達の今の関係なんて嘘のように、距離は離れている。昔から篤志はあまり笑わない人で、ただ周りでキャーキャー言う女子をめんどくさそうに見ている印象しか無く、関わりにくそうだなとは思っていた。なのに・・・・・・
『いつの間にこんな関係になったんだろ』
篤志の事が嫌いな訳じゃない。むしろ愛してる。絶対言わないけど。でもそれまでの経緯が思い出せない。
その時私の携帯が鳴った。
慌てて見ると、着信で、それは待っていた人物では無く自分の母親だった。
どんな気持ちか分からないため息をはいて耳にあてる。
『もしもし』
「もしもし俺だけど」
『・・・・・・あれ?男?お母さんいつの間に男になったの・・・・・・』
「アホか。南沢だ」
『・・・・・・』
もう一回通話相手を確認する。確かにディスプレイには[母]とかいてある。
「今おばさんと一緒にいるんだけど。」
『何故に』
「今日泊まるから」
『は!?え、どういうこ・・・』
ツー ツー
切れた。
『・・・・・・状況不明』
時間、夜11時。母親、仕事終了時間。
篤志、家にいるはずの時間。
『???』
頭にハテナしか浮かばない。
そして我が家の鍵が開く音がする。
嫌な予感しかしない。
階段を登る音がして私は思わずクローゼットの中に隠れた。
201112062253