novel♯

□旧友
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僕の友達は、


清くて、美しくて、強くて

そして儚い、王子様。













旧友












「ああ!マルス王子。お久しぶりです。」


「えっ?あっ、マリク……マリクかい!?」

「はい!カダインで魔道の修行中に戦争が始まり、
 王子を探していました。」

「そうか……ありがとう。
 君が加わってくれれば心強いよ。
 力を貸してくれるよね。」


「もちろんです。
 カダインの魔法エクスカリバーの威力をお見せしましょう。」


















騎士の国として有名な祖国。
王国に仕える一族として育った僕は、
もちろん最初は騎士を目指した。

それが一族にとっても、
守るべき人にとっても
一番だと思っていた。




でも、僕には騎士になる器は
持っていなかった。

自分でもよくわかったいたけど、
王子を守るのは騎士である
という頑なな意思と意地で、
あの頃は強がっていた。



「マリクって本当に騎士になりたいの?」


(もちろん!王子を守るためなら!)


「…でも君に剣や槍は似合わないよ?」


(え…?)


「マリクは優しいからなぁ。
 また僕に好きな本の話聞かせてよ。」









「…背伸びしなくていいんだよ?」






貴方が言ってくれたこの言葉。

自分が自分らしくあるために、
カダインへ魔法を学びに行こうと
決意することができた。

周りの反対を押し切って、
不安ばかりが頭をよぎった旅立ちも。

貴方だけは最後まで味方だった。









王子を守る力は、
なにも剣や槍だけじゃない。


僕は僕なりのやり方で
王子を守って見せる。


そう心に誓い、祖国を離れ、
日々修行に励んだ。











だけど…

アリティアが同盟国に裏切られ、
壊滅的な状況だと知った時。

なによりも貴方のことを想った。
王子の生死は確認できなかったが、
遠く離れた場所では祈るしかできなかった。

同時に、祖国を離れたことを後悔した。






カダインで魔法を学んでいた僕は、
祖国の危機になにも関与していなかった。

プラスでもマイナスでも、
なにも関わることができなかったことに
怒りと虚しさを感じた。





次々と押し寄せる敵から
貴方を守ったのは、だれ?


悲しみに震える貴方を
抱きしめたのは、だれ?



貴方は…







僕には何もできなかった。

無力。






今までの、いつもの僕なら、
この無力感に押しつぶされていただろう。



でも、違う。



僕は王子を守るために
僕なりの方法で力をつけてきたんだ。


王子はきっと生きている。

王子ならきっと祖国を取り戻す。

王子は諦めずに戦う。




なら僕のすべきことは…









「頼むよ、相棒…」





風の魔道書を片手に飛び出した。














**********

マリマル。
仲間になる時の会話から
ここまで妄想しました。←
マリクにとって王子は
最大の理解者であり最愛の友人。

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