短編
□調理員さん
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「お前の料理美味いらしいな。」
なんやかんやで似た境遇に会い、なんやかんやでこのボンボンなおぼっちゃま達が通う大きな全寮制男子校の職員となった清掃員の彼に話しかけられた。
ん〜、僕、食事中なのになー。
「そうかな〜」
「謙遜すんなって。生徒たちからえらい人気だぞ。ヨメにしたいって。」
嫁か、僕が君を嫁にしたいよ、なんてねー
「えーなにそれ。僕が入れられるほうってことー?」
「んー?よくわからんが、とりあえず今食ってるやつ一口くれよ」
きょとん、とした彼の顔、あはは、かわいー
「あーはいはい。あーん」
律儀に口まで料理を運んであげる僕。やっさしー
「ん。っ…!まっず!」
彼のしかめっ面もかわいいけど、なにそれ、と僕も繭を寄せる。
「えー?そう?」
「こんなくっそまずいもんよく食えるな!」
「ひどいなー。ていうか学食用に作ってるやつのほうがくそまずいよ。変なのーこれは超うまいじゃん。」
変なのはお前の舌だ…!、なんてボソッと呟いたのは無視しとくよ、僕やさしいからー
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味オンチ調理員さん