短編
□嫌よ嫌よも好きのうち?
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馬鹿な俺様→←高飛車日本男児
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「お前、俺サマのこと、好きだろ?」
今年になって同じクラスになったのをきっかけに、毎日毎日好きだの何だのと伝えてくる男に突然そう言われた。
何を言っているんだこいつは。
一人称が『俺サマ』な時点でおかしいとは思っていたが、こいつの脳は正常ではないようだ。
ならば簡潔に伝えようではないか。
「『どうでもいい』だな。」
「へ!?」
短くかつ簡単に、馬鹿にもわかるような拒絶を言い放つと、馬鹿からバカみたいな声が出た。
いや、実際馬鹿なのだから”みたい”というのはおかしいな。訂正しよう。
馬鹿からバカ丸出しの声が発せられた。
「どうでもいいって言ったんだ。英語で言うと"I don't care."だ。」
「な、なんでだよ!なぜ俺サマに惚れない!?」
少しでも面白おかしい会話になるよう、ギャグとして英語で同じことを言ってみたのだが、この馬鹿はなぜか知らんがひたすら必死で、俺の話などロクに聞いてない。
「お前は俺の人生に必要ないからかな」
「じ、人生に無駄なんて無いんだぜ…?」
こいつは何故人生を語り始めたのだ。
お前は俺と同じ17年しか生きていないだろうに、人生の何が分かるというのだ。
「ん。それはよく分かるが俺にはお前と会話する時間が無駄だ。…そもそも、お前なんぞに人生について語られとうないわ!」
「辛辣!だけど好き!」
そう言うやいなや馬鹿は俺に抱きついた。
俺の心根も知らずに。
ああ、なんて軽く言うんだ。
俺の口が裂けたとしても決して言えないであろうその言葉を。
「お前のそういうところが嫌いだ。」
「本当は違う癖に!」
…それは俺のセリフだこのバカ。
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互いに片思いとかもぐもぐ。
一途な俺様とネガティブ男子