おれだけじゃないハズ

□あれには驚いたよね!
1ページ/1ページ




とりあえず放課後になったので、今からさんそんのいう『不良(笑)』くん、もとい木下くんの寮部屋に行くことにした。
一人で行く!っていうのは流石に無理☆もう吐くものなんてないよ☆っていうか不良くん相手にワンツーマンとか、おれ死ぬんじゃない?っていうことで暁にご同行願おう!


「かかかっ加藤くんっアキラってど、どこ?」

「ん?アキラ寮もどったんやない?」


うはー…
暁、寮に戻っちゃったか…ううっおれを置いて行っちゃったか…ううぅ…
軽い絶望感が到来し、おれの淡い希望が消えてしまった。
…ど、どうしよう。

加藤くんについてきてもらう!っていうのは…うん、無いな。

だって暁の所在を尋ねようとするだけなのに、おれ、どもりすぎだもの。挙動不審だもの。もはや地震の根源なの?って感じだもの。
ていうか初対面すぎるイケメン様に『不良くんのところ、一緒に行こー☆』なぁんて、言えるわけがない。
おれなんかが言える立場じゃない。うん。自分で思ってて悲しくなる☆


ひとりでうんうん唸りながら考えていたら加藤くんが心配そうに目をパチパチさせ、おれを見てきた。
かっこよさに、そういう可愛らしいしぐさを取り入れちゃうってなんなの?顔もしぐさも普通すぎちゃうおれは何なの?死ぬの?


「山村になんか頼まれたん?俺、暇やからアキラの代わりに手伝おっか?」

「ふぁ、う、うん!」


おれは思わず綺麗なパチパチに魅入られ、首をおもいっきり縦に振りながらお願いしてしまった。
うん…
一人で行くより全然気は楽になったけど、加藤くんにはなんだか申し訳ない気分でいっぱいだよ…!今なら綺麗な土下座を披露できそうだ。

あ、でも…せっかくご同行してもらう約束をした加藤くんに、さんそんに頼まれたことを説明したら嫌って言うかもしれないなぁ…

…それも嫌だけど、やっぱりちゃんと言ってからの方がいいよね…
すごい嫌だけど。



「か、加藤くん、実は頼まれたことって言うのは…」

「ああ、木下の事やろ?」

「え、うん」


あれ、加藤くんなんで知っているんだろう…
エスパー?情報屋?先生のストーカーさん?


「あ、なんでかなーって顔しとるね。えっと、そうやなぁ。俺はね、物知りってことで!」

「ふうん?」


なんか今思いついたって感じだけど、なんだか楽しそうにカハハと笑う加藤くんを見て、とりあえずエスパーの線は消しておいた。



 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ