aoex

□難儀
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「おい、金造!」

びっくぅ!
いきなり呼び止められ肩が大袈裟に跳ねる

「な、何?柔兄…」

「そないにビックリする事あらへんやろ。ほれ、ピン取れかかっとんねん」

柔兄が俺の頭を指差しながら言う

「え?あぁ…」

自分の頭に腕を伸ばし
直そうとする
が、自分ではしっかり留められない
どうにかして留めようと苦戦していると

「あ〜、もうじれったい奴やなぁ!」

かしてみぃ!!
と俺の手からピンを取り上げて頭に留めてくれる
あ…柔兄の匂い…
柔兄はなんや優しい匂いがするんよ
いい匂い…落ち着くわ……

「よっし!これでもうずれたりしぃひんやろ…ってぇ金造?どしたんイキナリ……」

!!!!!!
うあぁぁあ!??
なっ何やってんのや俺ぇぇぇ!!

「ごっごめんイキナリだだっ抱き着っおぉ俺今日ちと疲れてるんよ!あはは…」

ああああハズいっハズかしすぎる
意味が解らん俺っ早くここから立ち去らな

「あぁじゃあ俺もう部屋戻るさかい」

適当な理由を付けて早々に立ち去ろうとすると

「ちょお待ちぃ」

徐に腕を捕まれた

「え、何「金造、お前俺の事好きなんか」」

……でえええええええ!!??
え何っそんなハッキリ言っていいんかいな つかそんなこと聞いてどうすんのや
戸惑いながらはは、と笑って答えた

「好きに決まっとるやろ、兄ちゃんやし当たり前や」

柔兄はそうか…とだけ呟いて俺の腕を放した
そのときはそのまま自分の部屋に帰ったが
後になって少し後悔した
なんでかって?
それはあんときの柔兄の顔が
心なしか悲しそうに見えたからや
……俺の本当の気持ちを伝えたら柔兄は受け止めるゆうことやろか…
わからん…


好きや


この一言だけやゆうんに


それすらも言えない俺は
「難儀やなあ」


1人苦笑してごまかした
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