そばにいられるだけでいいのに
□第一章〜卒業
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「あった! 俺の番号!」
「あった! 俺も!」
「ぅわ〜! やった! やった!」
大学の合格発表。
受験番号が貼り出された板の前で、俺より13センチ背の高い親友に抱きつく。
二人で飛び跳ねて喜んだ。
親友の柚木は俺を抱きかかえながら、片手を天に向かって突き上げる。
野球部の大事な試合で勝った日が思い起こされた。
ひとしきり盛り上がった末、我に返った俺は柚木の首から腕をほどいた。
「……俺ら、喜び過ぎ」
「あ、……だよな」
柚木も俺の肩に残っていた手を下ろす。
なんだか名残惜しい。安住の地を取り上げられたような感覚。
なんでだろう。
なんでこんなふうに思うんだろう。
「行こ! 手続き、あっちでいいのかな?」
受験票を見ながら校舎の方を指差し、俺は柚木の背中を叩いた。
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