FA

□140字 7(滑らない話を。)
1ページ/6ページ

おちない話を


「おや?またか…」「何か?」「中尉、私の取り寄せた国中で一番売れているプリンが届かなくてな」「代わりに苺味の手作りがありますけど」「違うんだよ。ひっくり返して取り出す瞬間のぷっちんと皿に…」「こちらをどうぞ」「待ちたまえ。皿に向かってだな…」「どうぞ」「君…」「どうぞ、こちらを」

「あれ?大佐が弁当なんて珍しいっスね」「ハボ、ありゃあ。愛妻弁当だ」「は…嘘だろ?」「ははは、ブレダは鋭いな」「まじっすか!いつの間に!?」「先手必勝!男の胃袋を掴めということだよ。諸君、羨ましいか?はははは、さてとひっくり返して底の突起をぷっちんと」「弁当じゃねぇ、おやつかよ」

「こら!返せ、ハボック!」「駄目っスよ、暫くはぷっちん禁止なんですから」副官から頼まれたらしい部下は私のぷっちんを没収するという暴挙にでた。許せん。「返すか、燃やされるか選びたまえ。三分間だけ待ってやる」「どっちもごめんです」ごっくん。「ハボック…貴様ぁ!!」「へへ、ご馳走さま」


「何故なんだ?中尉、細やかな楽しみなんだよ」私の一番の理解者だろう?「申し訳ありません。しかし、あ…!」「ぷっちんは返してもらおう」「嫌です!」「隠すな」「や、あんっ…」「上衣の下からも全部だせ」「ちょっ何してるんですか!?あんた」「少尉…」「大佐ー!」「な、何もしていないぞ!」

「すまなかった。中尉」ぷっちん入りの紙袋を無理矢理奪ってしまって「ぷっちんを失いたくなかったんだ」膝をついて謝った。「約束を思い出してください」「昨日食べたのを最後のプリンにすることを君に誓ったんだな」「はい」くそっ蔭でこっそり盗み喰いも出来ぬとは…「誓いは守って下さいね。大佐」

「理由はお判りでしょう?」ああ、判っているさ。「暫く…おやつは食べない」「期限は?」「…春までだ」手鏡を見せられて促される。まったく、童顔とおやつに因果関係などないだろう…「腹へりましたね。なんか食いに行きませんか?」「よかったらこれを…」「差し入れっスか?」あぁ私のぷっちんが…


 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ