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□140字 6(恋愛指南)
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※(最初と最後の辺り)一部、診断メーカーからお題頂きました。
140字(恋愛指南)


「まずはだな…裏通りに連れ込んで××して××だな」「!」「こら、犯罪者を見るような目をするな。好きだと一言いえばセーフになる」「そんなありふれた言葉だけで大丈夫でスか?」「無論だ」自信たっぷりな笑顔が胡散臭い。恋愛指南を受ける相手を間違えたのかもしれない。「はあ…試してみますよ」

雨宿りをする彼女を家まで送って行ったのが始まりで…『ありがとう。少尉さん』別れ際の笑顔に恋をした。怖くない、と言ったら嘘になる。失敗して嫌われたらどうするか…と、だってさ。『ごめんなさい』ならあのひととは、明日からおはようの挨拶すら出来なくなっちまう。 この恋だけは諦めたくない―

「…と言うわけで中尉に相談しているんです」「早く告白してきなさい」「それが出来たら相談しませんよ!」「…でしょうね」「俺、ガラスのハートの持ち主なんで無理っス」七杯めのビールを煽るように飲み干す。「大佐みたいに何しても許されるオーラも無いし…」グスンと鼻を啜る。「今月は金欠だし」


「駄目よ、諦めないで」「でも…金欠で、プレゼントも買えないんですよ」視界が滲む。「紅い薔薇100本持って、ピンクのオープンカーでさらっていくなんて恥ずかしいし、無理っス」金も勇気も無い男なんだ。「背伸びなんてしないで…ね?」「中尉…」温かい慰めが心に染みてチーンとナプキンで鼻をかむ。

「そうねぇ…まずはお友達から始めましょう」「友達になっちまったら恋人になれませんよ」「えっ、そうなの?」「ボインな美女は競争率高いんで短期決戦っス」だから大佐に初デートでお持ち帰りを相談したんだ。参考にならなかったけどさ…「大佐はドンしてチューしろって」「…」あれ?剣呑な空気に…

「もう一度、詳しく話して頂戴」中尉はぐいっと中ジョッキを一口で飲み干す。「えっと、…みたいなアドバイスでした」俺はその迫力に逆らえずに上官のここだけの話も含めてゲロっちまっていた。「そんな手練手管使っては駄目よ」「…でも」「駄目!」「…はい」近道なんだけどな〜女性には不評なのか?


「強引より真心よ」「愛より金の女だったら?」「…」「出来るだけ早く彼女が欲しいんですよ」俺は必死だった。「そうね…職業柄心の支えは必要よね」日夜ボインな彼女との甘い生活を夢見ている。「応援するから」ボインは正義だ。「嬉しいっス」あーでも、ムチムチした太ももとかも気持ちいいかな〜。

中尉みたいに両方揃ってるのも有りだよな?「中尉、デート練習に付き合ってくれませんか?」あわよくばイイコト出来たら最高だ。「駄目よ。練習なんて…」「ちょっとだけ」酔ったふりして頼んでみる。「でも…」あと少しで釣り上がるかも…「燃やすぞ…ハボック」ヤバイ!焔の錬金術師を釣っちまった。

「た、大佐。デートですか?」「馬鹿者、本日は休肝日だ」毎日だと身が持たないだろう。なんて言って大佐は俺から取り上げたビールを飲むと温い、と文句を言う。「さて、私も混ぜて貰おうか」邪魔ですよ、と言えない俺に代わって中尉が一言…「予報では雨の…」「君がいるから平気だ」何ですか!?ソレ


「報われない恋路なら私に任せておけ」いや、俺は中尉からアドバイスが欲しいんスけどね。基本はデートだ、と宣う男を呆れた顔して中尉と眺めてると、「恋の鞘当てには、愛の言葉が有効だ」自称、百戦錬磨な上官殿は実践して見せてくれるらしい。「…であるから中尉、ハボックの為に協力してくれ」へ?

「遠慮なく任務中だと思って」「はあ…」俺をダシに恋人モードに入るらしい…羨ましい。早速、彼女を壁際に追い詰め腕の中に閉じ込めると、「真昼だって構わないだろう?」「///」おいおい、明るいうちからかよ!「君に恋して、君への愛を知ったんだ…」なんだこれ、見せつけられて泣いちゃいそうだよ。

「どうしたら振り向いてくれる?」甘く切ない声音―「もう、だめです…!閉店します」いつの間にかギャラリーが増えてきていた。中尉は猿芝居を続けるのに耐えられなくなったらしい。耳まで真っ赤に染めてガラガラと閉店してしまった。残念…後ひと押しでチューだったのにな〜「閉店など認めんぞ」え?

 
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