蒼紅 DS小説

□蒼紅〜Red Angel〜
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蒼紅ほのぼの日和 幸村頑張る編(前編)




3月某日 

奥州に来てからというものの…毎日毎日美味しいものを食べさせてもらっているでござる。
三食昼寝付きでござる!
政宗殿にも愛されているでござる。
こんな幸せなことはないでござる。
明日のおやつは何でござるかな。


幸村


「幸村〜今日のおやつはこの南蛮渡来のカステーラだ」
「おお!嬉しいでござる!いただきますでござる!」
幸村は出されたカステーラを美味しそうに食べ、政宗はそれを微笑ましく見つめていた。
そんな日々を過ごす二人に何も障害も無く…。
そんな愛らしい幸村の姿を見て、政宗はぎゅっと抱きしめた。
「政宗殿ォ…///」
背中をなでなで。
「柔らかいな…」
「!!!!????」


昼間言われたことが反芻し、幸村は寝る前にふと鏡で顔を覗き込んだ。
「顔が…」
以前のキリっとした滑らかな顔ラインは消失し、ほっぺに手を当てて触ってみると、
ぷくぷくした感触に幸村はショックを受けた。
ふとお腹の辺りを見てみる。
某のお腹が… 【プライバシー保護により詳細は控えさせております】になっているでござるよ。
ヤバイでござるよ…。これから映画の撮影もあるのに…、
こんな【プライバシー保護により詳細は控えさせております】お腹では世の乙女達を
ハァハァさせられないでござる!
それに…こんな【プライバシー…以下略】お腹では政宗殿に抱いてもらえぬ!!!
がくっと膝を崩したが、すぐに立ち上がり、
「明日からダイエットでござる!」
一人決意を固め、寝間で燃え滾っていると、政宗が手に飲み物を持ってやってきた。
「幸村ほらホットカルピス、濃いめw」
「キャウン!」
目をキラキラさせながら、ホットカルピス(原液に近い)をふうふうしながら飲み干す。
幸せそうな顔をした後、はっとして後悔をする。
某はなぜ…こんな物を…。今、決意したばかりなのに…。駄目でござる!こんなことでは!
「???どうした?」
じーっと顔を見つめられて、かぁっと顔を背ける。
突然、背中からぎゅうっと抱きしめられて、囁かれる。
「今日、駄目?」
政宗の吐息が耳にかかり、幸村は体を強張らせた。
ドキドキと胸が高鳴り、気持が高揚したが、お腹の辺りに手が伸びてきた時に、
はっと気づき、政宗の手を振りほどく。
「今日は駄目でござる!某、今日はあの日でござるから!!!もう、寝る!」
ぽかーんとした政宗に背を向けて、布団にもぐりこんだ。
「…あの日って何…?………拒否られた…しくしく…」
…と呟くようにショックを受けて泣いている政宗を尻目に、
幸村は明日へのダイエットの意欲に燃えていた。


翌日、


「幸村、朝餉だけど…何で第二衣装着てるんだ?」
幸村はくるっと振り返って
「某、お腹いっぱいでござる!今日から鍛錬するでござるよ!」
と、言い捨て脱兎の如く走っていった。
ぽかーんとした政宗は、
「あいつがメシを食べないなんて…槍が降るかも…」


その日から幸村のダイエット(鍛錬)の日々が始まった。
一日中走りこみ、どこからかの入れ知恵で 
人間水だけで一週間は生きられる と聞いて水だけを取る。


一日が終わり、水だけを飲み満足する。
今までヌルイ生活がいけなかったでござる!もう誘惑に惑わされないでござる!

一日で1s減ったことに満足し、さらに過酷なダイエットに挑む幸村。




「幸村…これ、お土産にもらった くるみゆべし…」
「某いらないでござる!お腹いっぱいでござる!鍛錬に行ってくる!」
「…ショボーン (´●ω・`)」





「あの…幸村、今日…」
「あ…」
幸村振り返って、ギロリ。(←痩せてきているので凄まじい形相)
「スゴスゴ(´●д;`)」
「俺、嫌われてんのかな…しくしく」



そんな日々が二週間続いたある日、幸村が抱えられて運ばれてきた。
森の中で倒れていたらしい。
意識を失った幸村を布団に寝かせる。心配した政宗がつきっきりで看病した。
薬と流動食を飲ませたせいか、数時間後には頬に赤みが灯った幸村が目を覚ます。
「幸村、大丈夫か?」
目を開けたら、愛しの政宗の心配する顔があった。
「う…ここは…某は…?鍛錬に行かねばっっ!!!」
「バカヤロ!!!森で倒れてたんだよ…はあ…なんだってあんな無茶なダイエットなんて…」
「///……」
ダイエットを知られたことに恥ずかしいので、声が出ず、幸村は顔を背けた。
「ほら、ちょっとづつだけど、食べろ」
体を起して、口に食べ物を運ぶ。一口食べたら、
「……うまい…でござる…」
「まだ…体が受け付けねえかもしれないが…ゆっくり食べろ…」
政宗は幸村の食べている姿がやはり一番好きだと…思ったが…

ガツガツ!モグモグ!!

………ヒイィィィ!!!!(゚ロ゚ノ)ノ すごいものを見たらしい…(((( ;゚д゚))))


……食べ終わってやっと落ち着いた幸村ははぁーっと息を漏らした。
「美味しかったでござる!」
「そうか…体調はどうだ」
「食べたから、元気になったでござる」
ニコッと笑顔を見せる幸村の顔は確かに以前より細くなっていた。頬がこけて色気さえ漂っている。
政宗はじーっと見つめる。
「某、政宗殿に迷惑かけたでござる…何かお礼がしたいでござる…」
「礼なんていらねえ…ただお前の元気な顔みれて良かった」
政宗はそっと幸村の手を指先で這わせて、握りしめる。
「でも…」
「お前がそこまで言うんなら…」
ぐっと顔を近づける。
「一回、ヤ・ラ・セ・ロ」
怒られるのを覚悟しながら、にこにこしながらお誘いを言う政宗の顔を、幸村はキョトーンとしながら見つめる。
「え…あ…」(←幸村本来の目的を思い出す)
一瞬の気まずい間があり、
「…ば…ジョークだよ///」
「…………そうでござるな。某もしたいでござる…」
「え…(……いいんすか?ヽ(゚∀゚)ノ)」
幸村はそっと政宗の背中に手をまわして胸に顔を埋めた…。

後編に続く
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