Dead Fox

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夕方近くになっても、俺達を乗せた車はまだ、森の木陰を進み続けていた




小便の為に、何度か車を停めた他には、ひたすら走り続けた




選んだ道のせいか、人家も見当たらず、立ち寄れそうな場所がなかったのだ




地図に載っていたいくつかの分岐を越え、今は、地図に載っていない道にタイヤを踏み入れている




地図通り進んでいれているのであれば、農村地帯へ無事に抜けられるだろう






「おいルキーノ、寝るな」



「ちょっと、ぼーっと、しただけだ……」





そう言うルキーノだが、明らかに眠そうだった




朝から全員、水分はウィスキー一口しか身体に入れていない




乾きが疲労に変わり始めていた





「日は、落ちているに……。さっきより、上、明るい感じ、ですよね……」





頭上の木々が段々と薄くなってきているのを、ジュリオは言いたいのだろう




多分、森の中心部から抜け、端へ近付いているせいだ





「森を抜けたら、車を隠すところがない。そろそろ車、停めるか?。残りガスも二目盛りだ」





俺達は、ちょうど見えた脇道に車を入れた 地図に載っていない林道で隠すにはちょうど良かった 全員で車から降り、一息吐く





「この辺で手分けして、水、探そうぜ」



「泉でも見つかれば良いんですけど……」



「今夜の寝床に良さそうなトコもな」



「なければ、地べたでゴロ寝だな」





肩をすくめてみせたベルナルドの顔は、小さく笑っているが、疲労の色が濃い



多分、運転の疲れだけではなく、昔の《トラウマ》のせいだ





「ベルナルド。お前は少し休んだらどうだ。運転で相当、神経使っただろう」


「そーよダーリン。無茶は駄目ヨ。休んでおけよ」



「いや……平気だ」





眼鏡の位置を直して、ベルナルドは煩わしげに首を振っている





仕方ない……





「ベルナルド、眠い」





カインはそう言うとベルナルドに抱き着いた





「!?。カイ、どうした?」





いきなりの事で、ベルナルドはかなり驚きながらもカインに聞く





「今言ったの聞こえなかった?。俺は眠いの!。……だから、傍にいて?」





顔を赤くし、首を傾げながら言う




我ながら、かなり上手い演技だと思う




そんなカインの仕種に、ベルナルドは「だが……」と言いながらも、目を泳がせ、迷っている




よし、後一押しだ!





「ベルナルド、一緒に居てくれないの……か?」





涙目をプラスさせて言うと、何処からか、バキューンという音が聞こえた





「……皆、俺は此処にカイと残っているから、後よろしくな」





どうやら、最後ので折れてくれたらしい




取り合えず、此処に残ってくれる事が分かったカインは、ジャン達に「ベルナルドは任せろ」とベルナルドに分からないように、口パクで伝える




ちょんと伝わったのか、ジャンも「ああ」と言い、他の奴らを連れて探しに行った







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